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2026年9月14日茨木市文化・子育て複合施設 おにクル
見通しを重視してガラスを多用した「おにクル」の外観(©Nacasa & Partners Inc.) 2023年11月、茨木市役所の隣にオープンした「おにクル」。「こわい鬼も来たくなってしまう楽しそうな場所」という意味が込められた同施設が建つのは、市内を南北に貫く緑道沿いの緑あふれる場所。7階建ての館内でさまざまな機能が有機的に連携し、「人・もの・こと」との「偶然の出会い」を日々生み出しています。また、多くの市民参加によって誕生したことも注目されています。「育てる広場」をコンセプトに市民が使い方を考えた施設
まちの中心部であり、JR茨木駅と阪急茨木市駅のちょうど中間に位置するおにクルは、文化や子育て支援などの機能を集約した複合施設です。
2015年に閉館した旧市民会館の建て替えに伴い、図書館をはじめ分散していた諸機能を一体化しました。大ホールやスタジオ、プラネタリウムなどを擁し、いつも多くの利用者で賑わっていますが、最も特徴的なのは開館までのプロセスです。茨木市共創文化部共創推進課 課長代理の山脇知郎さんが、次のようにご説明くださいました。
「おにクルは、『育てる広場』をコンセプトに、市民の皆さんと『どんな場にしていきたいか』を考えながらつくった施設です。2016年から2023年の開館まで計108回の市民参加の取組みを開催し、延べ2,200人以上の方に参加いただくなど社会実験やワークショップを重ねて取り組んだ一大プロジェクトでした」。
ワークショップでは、市民の方々からさまざまな過ごし方や使い方のアイデアが寄せられ、設計やデザインに反映されています。例えば「おにクルぶっくぱーく(図書館:5、6階)では、狭い場所にこもって読書するのが好きな子どものために、「おこもりシート」という特別な空間を随所に設置しています。また、5階と6階をつなぐ階段でも本が読めるよう、階段がそのままベンチになっています。これも市民の方が設計者に要望を伝え、追加されたものです。
そして、大人気のイベント「おにクルファミリーキャンプ」は、「新しい施設ができたら泊まってみたい」というワークショップでの市民の声を実現したもので、泊まるだけではなく、おにクルのスタッフが全館を使った楽しいプログラムを企画しました。
「『育てる広場』の考え方は、まずやってみる、どうすればできるかを考えるというもの。これは開館前のワークショップや社会実験で培われたマインドであり、開館から3年近く経過した今も一貫して共有されています」。
“広場の使い方”の社会実験(IBALAB(イバラボ))の一風景
蔵書数約10万冊の「おにクルぶっくぱーく」(図書館)©Nacasa & Partners Inc.
市民のアイデアが反映された図書館の「おこもりシート」
毎年大好評のイベント「ファミリーキャンプ」の様子 フロアと機能を立体的につなぐ吹き抜け「縦の道」
建物の核となっているのは「縦の道」と呼ばれる、多様な機能をつなぐ役割を果たす吹き抜け。下から見上げたときの、縦横無尽にエスカレーターが行き交うさまは圧巻です。おにクルは、「偶然の出会い」を誘発するための工夫が凝らされており、この「縦の道」も「人・もの・こと」の出会いをもたらすことを意図して設計されました。館内を歩き回ってみると分かるのですが、エスカレーター乗降口の位置が各フロアで異なっているため、目的のフロアに移動するまでに、途中のフロアを少し歩くことになります。本来用事のなかったフロアの様子を目にすることで、知らなかったイベントや展示会などに気付くことができ、出会いが広がっていくわけです。
極力壁を無くしてガラスを多用しているのも、見通しをよくして交わりを増やすためです。各機能の境界を緩やかにすることで、連携もしやすくなります。見通しにこだわったのは、限られた空間により開放感を付与するためでもあります。大きなガラスによって館内のどこにいても外や空が見え、内部と外部の連続性が感じられます。この連続性を強調するために、梁を使わず丸柱でスラブを支持するフラットスラブ構造が採用され、内部からの見通しだけでなくスマートな外観も実現しました。
「分散していた施設の機能を集約するにあたり、避けられないのが面積の問題です。一つの建物を各施設でシェアするわけですから、どうしても小さくなりがちです。例えば図書館も、当初希望していた席数より少なくなってしまいました。そこで『縦の道』の周囲にベンチを設置し、建物内ならどこでも図書館の本を読めるようにして読書空間を広げる工夫をしました」と山脇さんは機能集約の難しさと工夫について語ります。
7層を貫く巨大な吹き抜け「縦の道」 ©Nacasa & Partners Inc. 「市民に愛される場所」を支えるスタッフの努力
ひときわ賑わいを見せていたのが、子どもの遊び場「まちなかの森 もっくる」です。ここでは「木育(もくいく)」をテーマに木が多用されており、子どもたちは木のジャングルジムや木のおもちゃなど、木に触れながら遊んでいます。これら木の遊具には、おにクルの建設計画に伴って再整備された緑地帯から伐採された樹木が活用されています。 おにクルホームページでは伐採木の来歴や樹種などが丁寧に紹介されており、ぬくもりある施設づくりのための愛が感じられます。
おにクルは、2026年7月末時点で519万人の入場者を記録しました。どのフロアを見ても、老若男女がまるでそこが自分の居場所であるかのように過ごしているのが印象的で、これほど市民に愛されている施設もなかなかないのではないでしょうか。「市職員と各施設の指定管理者が、全館あげて『みんなが心地よく感じられる場所にしていこう』というビジョンとミッションのもと、積極的にコミュニケーションを取り、有機的な連携を図っているからだと思います」と山脇さん。「育てる広場」がこれからもまちのシンボルとして、どのように成長していくのか楽しみです。
「木育」がテーマの屋内こども広場「まちなかの森 もっくる」 茨木市文化・子育て複合施設 おにクル 【所在地】 大阪府茨木市駅前三丁目9番45号
【TEL】 072-631-0296
【URL】 https://www.onikuru.jp/

