建材情報交流会

  • 【第68回建材情報交流会】優良製品・技術表彰2026受賞者講演会(7月23日開催)の講演録を公開しました
    2026年9月1日
    第68回建材情報交流会 「優良製品・技術表彰2026」受賞者講演

     日本建築材料協会では優れた建築材料・住宅設備の製品・技術を社会に発信し、品質並びに施工技術の向上を図り、建築業界全体の更なる発展と向上に寄与することを目的として、毎年「優良製品・技術表彰」を実施しています。
     この賞は日本で唯一の経済産業省と国土交通省の認めた建築材料、住宅設備の賞であり、2026年から環境省地球環境局長賞が追加されました。
     7月2日、「優良製品・技術表彰 選考委員会」で最終選考に残った製品・技術を総合的に評価、選考し、最優秀賞ほか合計10賞の優良製品・技術が決定いたしました。

     7月23日に優良製品・技術表彰受賞者による講演会「第68回建材情報交流会」を大阪市中央公会堂大会議室で開催しました。
     同講演会では基調講演に優良製品・技術表彰選考委員を務めていただきました眞野サトル氏(ARCHIXXX眞野サトル建築デザイン室、公益社団法人日本建築家協会近畿支部 青年委員長)をお招きし「建材メーカー×建築家の協働から生まれる -設計から広報まで、次世代のアイデア戦略-」テーマにご講演いただきました。
     その後各社から受賞製品・技術の特徴をはじめ開発のきっかけ、苦労話など、製品カタログには掲載されていない貴重なご講演をいただきました。


    眞野サトル氏基調講演はこちら


    優良製品・技術表彰2026受賞製品紹介・審査講評はこちら


    経済産業省 製造産業局長賞
     「SZルーバーシステム type G」 三洋工業株式会社

    準構造化天井として設計可能な耐震ルーバー天井

     本製品の特長は準構造化天井として設計可能な耐震ルーバー天井であることです。ホールやショッピングモールなどの大規模な空間でも耐震性を確保したルーバー天井を採用することが可能となります。
     準構造化天井して設計可能にするため、支持構造部材とルーバーの接合に専用部材の「ストリンガー型野縁受け」を使用しています。これにより、天井全体の剛性を高め、準構造化天井としての設計を実現しました。
     ルーバーは建築デザインとしての採用が増加しており、特に木目調が人気です。その流れを受けて、天井にルーバーが採用されるケースも増えていますが、その一方で、ルーバー天井に関する耐震基準は、いまだに明確化されていないという課題があります。
     例えばルーバー天井を施工したケースでも、吊りボルトに水平ブレースを入れているのですが、あくまで揺れ防止対策の範囲に留まっているのが現状です。

    特定天井に該当する場所での使用を可能にした製品

     天井に関して大きな課題となるのが特定天井という枠組みです。大規模空間の吊り天井で、天井高さが6m超、人が頻繁に出入りする空間に設置されているものが、特定天井に該当します。該当する場合、国交省の告示により、構造耐力上の安全性を確保する必要があります。特定天井は、基本的に面で構成された在来天井をベースに基準がつくられているため、天井が断続的に構成されるルーバー天井は、特定天井に該当する場所での使用が困難でした。この問題を解消するために開発したのが「SZルーバーシステム typeG」です。
     本製品は、吊り天井ではなく準構造化することによって特定天井の枠組みから外すことを実現しました。準構造化の条件を満たすために試験も実施しています。特長の一つである専用ストリンガーを使用することで天井全体の剛性を大幅に向上させ、ユニット試験では下地(ストリンガー部まで)の固有周期0.1S以下を実現し、準構造化天井が設計可能となる条件をクリアしました。このためさまざまなルーバーを設置することが可能となっています。さらに、実地震波を再現した加振試験を行い、加振後の試験体に大きな損傷や破損がないことを確認しており、地震が発生した場合でも安全であることを実証しました。

    デザイン性、耐久性に優れた対応ルーバー製品

     次に、「SZルーバーシステム typeG」に対応可能なルーバー製品を紹介します。当社で扱うルーバー製品の中では、「スカイマーカー」と「WOCSS(ウォックス)」が対応可能です。
    「スカイマーカー」は木目シート貼りのアルミ製ルーバーで、内外装の仕上げ材として使用します。アルミ製ならではの高いデザイン性が特長で、5種類のサイズと6種類のカラーのから自由に選ぶことができます。さらに、アルミ製のため軽量かつ高耐久構造なので、屋外でも使用可能です。
    「WOCSS」は木目調鋼製スタッドです。コストパフォーマンスに優れた角スタッドを使うことによって、大規模天井でも意匠性の高いルーバー天井を低コストで施工することができます。
    当社では、ルーバー天井に対する耐震化の関心が未だ薄い中、今後発生する可能性がある大規模な地震への有用な対策として、「SZルーバーシステム typeG」を拡販推進していきたいと考えております。

    国土交通省 住宅局長賞
     「極地ハウス・リフト・省エネルギー型EPS断熱構造システム」 明和土木興業株式会社

    極寒環境での活動経験を生かした高断熱ハウス

     「極地ハウス」の開発者である私は2025年、第66次南極観測隊に加わり、ドームふじ基地の天文台に設置する望遠鏡の架台設置と電源室の設計・施工に携わりました。本製品はその経験と技術を活用して開発した高断熱ハウスです。
     私自身は、埼玉県で発泡スチロールを利用した住宅や農業施設の設計、施工を行っていますが、某大学からの依頼で先述の天文台での任務に就くべく、南極へ赴きます。ドームふじ基地は、拠点となる昭和基地よりもずっと内陸部に位置し、標高3,800m、気温-80度に達する、地球上で最も過酷な環境の一つです。
     私が参加した第66次南極観測隊は総勢89名でしたが、ドームふじ基地で活動できる隊員は限られているため、ドーム隊としてそこまで行ったのはわずか18名でした。360°見渡す限り真っ白な雪原で、雪上車で進んでいても、本当に前進しているのか? と思ってしまうほど景色がほとんど変わりません。まるで同じ場所をぐるぐる回っているような感覚でした。ブリザードになると視界がほとんどなくなり、その場で3日間待機せざるを得ないこともありました。
     研究資材は全てソリで運搬。長距離輸送で荷締めベルトが切れ、鉄は低温でもろくなり、雪上車やソリのフレームが折れることもありましたがその場で修理し、直せないものはやむを得ず放置し、帰りに回収しました。私自身も高山病になり、軽い凍傷を経験しました。シャワーは簡易テントで10日に1回、わずか7Lの湯で頭と体を洗い、洗濯まで済ませていました。
     そんな毎日の生活の中、私はずっと考えていました。もっと軽く運べる建物があれば、燃料も節約できるのに。もっと短時間で設置できる丈夫な建物があれば……もっと暖かく快適な建物があれば……。

    過酷な現場に快適で安全な空間を提供する

     その思いを日本へ持ち帰り、形にしたのが「極地ハウス・リフト」です。120㎜の発泡スチロールと構造用合板を一体化させた木質ボックス工法を採用した、独自の「極構造」により、軽量でありながら、高い断熱性能を実現しました。そのため冷暖房効率が高く、夏は熱中症対策、冬は寒さ対策として活用できます。
     南極では、鉄は劣化し、断熱性能も落ちるので、構造に釘や金物は使用していません。外部は全面防水塗装で、メンテナンス性にも配慮しました。設置も簡単で、完成品を中型トラッククレーン車で運搬できます。吊り上げフック4点付きで、素早く設置、固定、移動が可能。
     「極地ハウス」は、高断熱で快適な空間を提供し、現場で働く全ての人が安心して能力を発揮できる職場の環境づくりにも貢献してまいります。建築現場の休憩所、防災用と、学校の校庭、イベント会場、農業・漁業、倉庫・工場などさまざまな場所や分野で活用できるのでぜひご検討ください。
     私は南極で培った建築技術を、日本の建築の発展と、そこで働く人の安全や快適な環境づくりに役立てたいと考えています。今回受賞しました「極地ハウス・リフト」をはじめ、より手軽に設置できる「テント」シリーズ、日本工業大学スマート農業センターとの共同研究により、極構造で10mスパンの梁を実現した大型産業用途の「フィールド」シリーズ、そして、住宅用途の「ゼロ」シリーズなど、今後も「極地ハウス」を幅広い分野へ展開してまいります。
     南極から帰国して1年半、本製品ははまだ始まったばかりのプロジェクトです。この技術を全国へ広げるため、販売、施工、共同開発などでご協力をいただける商社様、建設会社様、販売パートナー様を広く募集しております。最南端の建築技術を、日本の未来へ!

    環境省 地球環境局長賞
     「ビニレーンe」 ナカ工業株式会社

    常温加工が拓く手すりの新しい基準

     これまでの樹脂笠木(以下「笠木」という。)は、常温下で曲げたり広げたりすることが困難であったため、施工時には笠木自体を事前に加熱して軟化させる工程が不可欠でした。今回開発した「ビニレーンe」は、手すりに必要な強度を従来同様に確保しながら、常温下でも曲げや拡張が可能な柔軟性を備えた新素材を採用することで実現した製品です。
     本製品がもたらす大きな価値の一つは、笠木の加熱工程を不要にしたことです。加熱工程を省略することで、加熱機器の搬入や水・電力の使用を削減できるだけでなく、施工準備や作業者の身体的負担を軽減できます。また、施工時間の短縮による作業効率の向上にも大きく貢献します。
     笠木の加熱を不要にしたことで、現場における作業負担の軽減を実現しました。こうした点が、「ビニレーンe」の施工性向上を支える大きな特長です。火気や熱源を使用しないため現場の安全性・防災性が向上し、特別な技能も必要としないことから短期間で施工技術を習得しやすくなります。熟練工の高齢化や人手不足が進む建設現場においても、誰もが安定した品質で施工できることは、重要な価値の一つです。
     当社では常温施工を実現するため、素材配合と性能設計を根本から見直しました。さまざまな環境温度下で受ける応力に対しても適切な粘弾性を維持できるよう組成を最適化し、寒冷地の低温環境下においても安定した施工を可能にしています。これにより、「冷める前に施工しなければならない」という作業者の心理的負担を解消し、落ち着いて確実な施工を行うことが可能となりました。
     意匠面では、地域景観や文化的背景と調和する色彩バリエーションとして、8種類の標準色と5種類の受注生産色を用意しており、さらに3種類の木目調色も展開を予定しています。周辺の街並みや自然環境に調和する低彩度のアースカラーを中心に構成することで、地域との親和性が高い空間づくりに貢献します。
     また、構成部品については、意匠性の高いブラケットをはじめとする既存部材との互換性を確保した共通設計を採用しています。これにより、既設品からの交換やメンテナンスが容易となり、建材としての長寿命化を実現しています。さらに、維持管理負担の軽減を重視した設計思想を積極的に取り入れ、持続可能な社会の実現にも貢献します。
     性能面においても、常温施工でありながら、手すりとして求められる安全性、衛生性、環境性能を高いレベルで実現しています。強度性能に加え、JIS規格に基づく抗菌・抗ウイルス性能についてもデータに裏付けられた性能を確保しています。また、カーボンニュートラルへの貢献として、従来工法と比較して、100m施工当たり4.28kgのCO₂削減を実現するとともに、一般家庭約1日分に相当する10.5kWhの電力削減を達成しました。環境性能の向上とともに、建築材料に求められる本質的な価値を提供しています。「ビニレーンe」は、単なる施工方法の改善ではなく、建材そのものの進化を示す製品といえます。常温施工という新たな価値は、建築現場の課題解決と持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩になると考えています。

    衛生性能を支える素材技術の発展

     当社が製造する可視光応答型光触媒「ウイルアン」は、研究機関で開発された技術を基盤に、当社が応用開発を重ねてきた抗ウイルス剤です。その特徴は、可視光を吸収して強い酸化力を発生させ、ウイルスを構成するタンパク質を変性・分解する点にあります。また、暗所においても一定の効果を維持できることも大きな特長です。
    この技術は既に当社の手すりシリーズへ展開されており、さまざまな施設や空間において衛生性向上に貢献する建材として採用されています。 今回、「ビニレーンe」の素材研究の過程で、従来を上回る効果が期待できる知見が得られました。この成果を活用し、従来製品への展開はもちろん、今後開発する新製品への応用も進めていく予定です。
     「ビニレーンe」は、常温施工という一つの課題解決からスタートしました。その結果として、施工性、安全性、衛生性、環境性能を同時に高める建材へと進化を遂げています。製品名に込めた「evolution(進化)」「easy(容易)」「eco(環境配慮)」という3つの“e”を体現しながら、現場の負荷軽減と建築品質の向上、そして環境負荷低減に貢献してまいります。
     本製品の取り組みが、皆さまの現場や製品づくりの一助となれば幸いです。

     

    優秀賞 日本建築協会賞
     「TSスライドSAT」 東洋シヤッター株式会社

    誰もが安全で快適に利用できる建物・空間づくりへ

     「TSスライドSAT」の開発には次のような背景があります。近年は高齢者や体が不自由な方でも、行きたいときに行きたいところへ、自由に行けるまちづくり・空間づくりが求められる時代になりました。建築物では、公共施設はもちろん、商業施設、教育施設、オフィス、工場など、全ての建物を対象にユニバーサルデザインを意識した設計が行われるようになってきています。
     しかし、いざ建築設計をしようとすると、開き戸なら各種性能を持った製品が市場にありますが、使用者に優しい引き戸については、使いたい場所に必要な性能を持つ製品がありませんでした。また開き戸には問題点があります。扉の向こうに小さな子どもや杖を持った高齢者がいた場合、急に扉を開けると大変危険です。加えて車椅子使用者や高齢者は、開閉操作に負担があります。
     既存の引き戸製品の多くは、性能が限定的です。例えば、高い防音性能はあっても、操作が重く、防火に対応していない。防火に対応していても、耐久性が低く日常使いができない。窓付き防音製品のバリエーションがない……といったものです。これは、構造的な困難さから、必要な性能を網羅した製品を開発することが難しかったというのが原因です。

    意匠性の高さと使いやすさの共存を実現

     そこで今回、扉構造、気密構造、閉鎖機構を総合的に新しくすることで、見た目も使い方も一般的な引き戸と同じで、かつ各種性能を備えた引き戸「TSスライドSAT」を開発しました。
     最大サイズは、開口幅1300㎜、開口高さ2400㎜。構造は、壁面に直接取り付ける「壁納まり」と、戸袋部分がなく扉を壁の中に引き込む「戸袋ボード納まり」の2種類で、最も利用される納まりに対応しております。窓付きにも対応しています。
    防火性能は、窓無し扉は特定防火設備、窓付き扉は防火設備を基本としており、遮煙性能はCAS認定を取得しています。また気密性能はJIS A 4702のA-3を取得しており、冷暖房効率を向上させる仕様です。耐久性は、多くの人が利用する場所を想定し、JIS A 4702の10万回に対して、倍の20万回となっています。
     次に防音性能です。「壁納まり」では、窓無し・窓付き共にT2~T3に対応し、「戸袋ボード納まり」では、窓無し・窓付き共にともT2~T4に対応しております。
     高性能の引き戸については、特に防音性能でよく戸袋に関する問い合わせがあります。戸袋部分は壁の施工となるため、「どのような壁仕様にすれば同様の性能が出せるのか」というものです。その方法も簡単にお示しいたします。片面12.5㎜の石膏ボードを2枚重ねたものを両面に貼る、つまり計4枚貼ればT4までの性能が得られることを、遮音試験で確認しております。
     開発にあたっては多くの課題に取り組みました。引き戸には隙間が多いのですが、柔らかいゴムで4周をふさぐと閉鎖しません。これを強制的に閉鎖すれば遮音性能が出るのですが、追加の操作が必要となります。次に、閉鎖を優先してゴムの当たりをソフトにすると、遮音性能が出ない。そこでゴムの形状と取り付け方法をいろいろ検討して、閉鎖と遮音が両方できても、今度は耐久性が足りず……と、トライアンドエラーを繰り返しながら開発を進めました。ゴムだけでも、厚さや硬さ、形状の異なるものを10種類以上試作しました。最終的には性能の高さと使いやすさを両立できる製品ができました。
     引き戸の良さである、安全性が高く、誰もが開放しやすい操作性の良さなど、引き戸の良さはそのままに、建築設計で要求される各種性能を持った「TSスライドSAT」を利用していただき、誰もが自由に利用できる空間づくりに少しでも貢献できればと思います。

     

    優秀賞 大阪府建築士会賞
     「G-PFシステム®特殊描画工法・遮熱クリアー仕様」 株式会社ピアレックス・テクノロジーズ

    深みのある濃淡・質感を再現する高意匠塗装

     今回ご紹介する「G-PFシステム®特殊描画工法・遮熱クリアー仕様」は、当社ピアレックス・テクノロジーズが長年取り組み続け、自信を持って提案できる外装ソリューションです。
     当社は1967年に設立した、機能性コーティング剤の開発から施工までを一貫して行うメーカーです。代表製品は、光触媒コーティング剤の「ピュアコート®」および、本受賞製品の派生製品である打放しコンクリート調描画工法「G-PFシステム®」となっており、これらの材料やシステムを活用して建築の美観、耐久、環境維持を高める技術を展開しています。
     今回の仕様の基盤となる「G-PFシステム®特殊描画工法」は、打放し塗装の技術を意匠性へと展開させたものです。また責任施工体制にて、安定した深みのある意匠を生み出します。これは平坦な単色下地から、木目や石調風に塗装することができる工法で、さらに今回「美しさに、快適を。」というコンセプトと共に、意匠性へのこだわりはもちろん、遮熱クリアーや光触媒の機能性、環境性へも力を入れて取り組み、システムを提供させていただきました。これにより、化粧シートや天然素材など、従来の工法のジレンマを解決する最適解を目指しました。
    当社の外装システムは塗膜が5層構造になっており、この5層をメーカー主導の責任施行体制にて、意匠性、耐久性、防汚性、遮熱性を持ったシステムとして成立させているのが大きな強みです。
     意匠性の応用として、デザイン性の演出によって、割付パターンによるデザインや、木材の代替に使用されるケースへの採用が増えており、他にも化粧シートの代替など、幅広い用途で採用されております。

    光触媒とフッ素樹脂のW効果で防汚コーティング

     今回、完全新規製品となった遮熱クリアーは、目に見えない近赤外線領域のみを効率的に反射できるようなクリアーとして開発し、このシステムに取り入れました、実際に遮熱性のクリアーコーティング剤を塗装した面を通常仕様の塗装面と比較すると、限りなく透明性が高いことが分かり、塗装による差がほぼ分からないレベルに達していると自負しております。
     サーモグラフィーによる表面温度の比較試験では、遮熱仕様の試験体が確実に温度の上昇を抑えられていることを確認しました。通常仕様で表面温度51℃のとき、遮熱仕様では37.6℃と、13.4℃の表面温度差が出るという結果が得られました。この性能によって快適さを実現しているわけです。
     光触媒コーティングは、当社が得意とする技術です。映像でご覧いただければ一目瞭然ですが、実際に黒い油に顔料を混ぜて外壁の汚れを再現した壁面で比較すると、「ピュアコート®」で防汚コーティングした壁面は雨水などがかかった際、親水性の光触媒効果によって汚れがきれいに流れ落ちます。
     「ピュアコート®」の特徴は、効率の良い光触媒に適した親水性フッ素樹脂を使っているところです。①遮熱クリアー、②光触媒コート、③模様描画層、④総合耐久性という4つのコア機能で、機能性、デザイン、長期耐久性を両立する外装コーティングシステムが、「G-PFシステム®特殊描画工法・遮熱クリアー仕様」です。設計価格はフルスペックで10,000円/㎡です。
     当社では戸建住宅、集合住宅、オフィス、公共施設など多彩な現場での施工実績があります。「G-PFシステム®特殊描画工法・遮熱クリアー仕様」は、時代を彩るデザイン塗装として、これからの建築に新たな価値を創造してまいります。

     

    優秀賞 日本建築家協会近畿支部賞
     「Φ35mm手すりブラケット pivo」 株式会社水上

    手すり棒の角度に関わらず、統一感をもたらす

     本製品は、直径35㎜の室内用木製手すり専用ブラケットです。直径35㎜といえば、皆さまにとっても馴染みのあるサイズであり、極めて一般的な手すり規格といえるもので、市場に多くの製品があります。手すりという用途や、既存製品のイメージから、どうしてもバリアフリーや高齢者向の印象が強い製品カテゴリです。そういった観点から昨今、特に若い感覚をお持ちの施主さま方からは、丸棒手すりは敬遠される傾向があります。
       そこで当社は、この直径35㎜の手すり棒に、全く同じ直径のブラケットを組み合わせることで、これまでにない一体感と、ミニマルな印象を持った手すりを生み出すことに挑戦しました。
     デザイン性に重きを置いた角棒や板状の手すりなど、各種製品が発売されていますが、それらと比較して、丸棒手すりの握りやすさや汎用性、色や素材の選択肢の豊富さといった強みは、皆さまがご存知の通りです。そういった丸棒の良さを保ちながら、デザイン性でもご満足いただける、新しい選択肢となる手すりブラケットが、本製品「pivo」のコンセプトです。
     「pivo」は、ポルトガル語で「回転軸」を意味します。同じ直径のブラケットと手すり棒が重なり合い、つながることで、ブラケット自体の上下や左右の区別が希薄となりました。ここから、手すり棒が縦でも横でも斜めでも、手すり全体の印象が大きく変わることがないという特徴が生まれました。そのため、斜めに取り付ける階段昇降用手すりブラケットにありがちな、ブラケットが傾いた印象がありません。また廊下の水平移動用の手すりや玄関、トイレなど、縦横に取り付ける動作補助用手すりなど、さまざまな用途で同じ手すりをご使用いただくことが可能となり、インテリアテイストの統一感向上にも役立ちます。このように「ブラケットを軸として、手すり棒を回転させてさまざまな使い方ができる」――ここから「pivo」の名前が生まれました。

    外観の要となる、ノイズレスなキャップ

     施工手順です。まず壁に仮固定ネジを取り付けてブラケットを仮固定、手すり棒も仮固定します。手すり棒を本固定した後、ブラケットを本固定させ、最後にキャップを取り付けて完了です。仮固定するのは新築現場等で、クロス貼り作業の一時的な取り外しが必要な場合は、この仮固定ネジのみを壁面に残して、手すり全体を取り外せば、再設置も手間なく行うことができます。
     次に、製品コンセプト実現の要といえる部品、キャップについて、ご説明させていただきます。手すり全体から一つでもノイズとなる要素を排除するために、キャップにも多くの創意工夫を凝らしました。
     正面の開口部をふさぐためのパーツですが、手すりを真下に固定するためのブラケット下側の開口部を同時にふさぐ構造になっています。さらに、この下部の開口部からキャップを押し込むことで、工具不要で簡単にキャップを取り外すことができます。しかし特殊なかん合方法であるため、キャップの意図しない脱落が起こりにくくなっており、「外しやすいのに外れにくい」「取り外しの際に破損が起こりにくい」という、施工現場に寄り添ったかん合構造となっています。
     またこの構造によって、樹脂カバーでありがちな、取り外すための切り欠きが不要となり、正面から見た際の同心円状のスリットの美しさが際立ちます。ノイズレスな外観の要となる役割を果たすのがこのキャップです。
     このように本製品は、他にはない唯一無二のアイデンティティを持った手すりブラケットとなります。今年から、より空間に馴染みが良く、少し存在感を柔らかくしたホワイト色を新色として販売開始しましたので、ぜひご検討ください。

       

    優秀賞 大阪府建築士事務所協会賞
     「土台めり込み防止用プレート(樹脂製)」 株式会社ダイドーハント

    現場の声や環境を考慮し、新材料への変更に挑戦

     当社は大阪府吹田市に本拠地を構える金物メーカーで、主に釘やビス類、建築金物類、副資材を扱っております。また木造住宅業界だけでなく、ホームセンター業界や、太陽光パネル架台などの太陽光関連も取り扱うなど、幅広い事業展開を行っています。
    本製品は、幅105㎜、奥行き190㎜、厚み12㎜の土台プレートです。在来軸組工法の柱材と横架材の間に挟み込むように設置して使用し、柱脚部にかかる部分の面積を広げることによって、柱が横架材にめり込むことを防止する商品です。
     弊社には「土台あんしんプレート」という既存製品があるのですが、金属製で重量がありました。本製品は、既存商品の材料を変更することで、さまざまな課題を解決しようと開発したものです。
     本製品の樹脂化には、主に3つの理由があります。
     1つ目は現場からの要望です。現行の金属製品は12㎜の厚物鋼板で重量があったため、現場からは「『持ち運びにくい』『落下時の危険性が高く、安全性に課題がある』といった現場の声が寄せられており、より軽量な製品への要望が高まっていました。
     2つ目は、建築業界における新素材導入への挑戦です。接合金物はこれまで金属製が主流でしたが、当社では材料の選択肢を広げるため、全く新しい素材への挑戦を常に模索しておりました。
     3つ目は、環境負荷低減への貢献です。従来の金属製製品では、防サビ処理として溶融亜鉛めっきなどが必要でしたが、近年ヨーロッパでの環境規制などでめっき処理の存在が厳しくなっていく中で、めっき処理を必要としない材料を使うことで環境配慮に取り組みたいと考えました。
     これら3つの理由から、樹脂材料に着目し、樹脂製製品の開発に着手しました。

    軽量化、省エネ、負担軽減など多くのメリット

     今回採用した熱硬化性樹脂について説明いたします。ペットボトルなどに用いられる熱可塑性樹脂は、加熱により溶解し、冷却で固形化する性質を持ちます。
     一方、当社が採用した熱硬化性樹脂は、主にギアボックスなど自動車関連で使用されており、加熱しても溶けずに固体を保つ特性があります。 樹脂化による最大のメリットは軽量化です。従来の鉄製製品は約1.4kgでしたが、樹脂化により約0.4kgと、1kgの大幅な軽量化を実現しました。また鉄で行っていためっき処理は一切必要なくなりました。
     これまで副資材として使用していた紙ラベルは、プラスチックの特性を活かした刻印により不要となり、めっき工程における廃棄物やエネルギー削減にも貢献しています。
     そして軽量化によって、現場での施工時や持ち運び時のハンドリング性向上に寄与します。さらに、軽量化によってトラック運搬時のCO2排出量を約60%削減できます。
     また、本製品はアンカーボルト用の穴を偏心させて配置している点も特徴です。これにより、プレートを裏返すことで広い範囲での使用が可能となり、アンカーボルトのずれにも対応して施工できます。
     耐力部材への樹脂材料採用という、建築資材における新たな試みであるため、安全性には特に配慮しています。現在、ハウスプラス住宅保証株式会社にて第三者評価の取得を進めており、長期間の継続荷重試験や防腐・防蟻剤との長期的な接触による影響確認など、安全性の検証を行っています。

       

    特別賞 日本建築材料協会賞
     「REJITON ecoro」 株式会社シブタニ

    建築金物メーカーが生み出す高品質リサイクル建材

     「REJITON ecoro」は、従来廃棄されていた人造大理石の端材を再資源化し、新たな建材として生まれ変わらせた、リサイクル型人造大理石です。
     本日は開発の背景や製品の特徴、社会的な価値について紹介いたします。
     当社は1946年に創業し、今年80周年を迎える建材建築金物メーカーです。創業以来、建築金物を中心に事業を展開し、現在では鍵錠前、ドアハンドル、産業設備、人造大理石、電気錠システムなど、幅広い製品を取り扱っています。
    2000年にはオリジナル錠前ブランド「Clavis」を立ち上げ、その後も電気錠「Tebra」の開発や鉄道設備機器、特殊車両分野への展開など、新たな分野へ積極的に挑戦してきました。現在は、大阪本社を中心に全国12拠点を展開し、安心・安全・快適を支える製品づくりを続けています。
     当社は建築金物のメーカーですが、毛色の違う商品として人造大理石を製造・販売しています。人造大理石「レジトン」は、カウンター天板やマンション専有部の上り框や巾木などに使われ、住宅だけではなくホテルや商業施設でも採用されています。奈良に自社工場を所有し、国内工場で製造するMade in Japanの品質も強みです。
     「REJITON ecoro」を開発した背景は次のようなものです。
     人造大理石は、原板をカットしてつくりますが、上り框や巾木、天板などを製造する際に多くの端材が発生します。今まではそれをほとんど廃棄していました。そこで当社は、この端材を再び原材料として活用できないかを検討しました。独自の粉砕選別工程を確立し、端材を再資源化することで、100㎏のうち70㎏の再利用が可能になりました。再生率約70%です。従来廃棄していた資源を有効活用し、資源循環につなげることが、この製品の大きな特徴です。
     一般的にリサイクル建材は、意匠性や質感が低下しやすく、高級案件では採用しにくいという課題があります。しかし「REJITON ecoro」は、天然大理石の粉とリサイクルした原料を混ぜていても、従来品と変わらない高級感や質感を維持しております。 そのため住宅はもちろん、ホテルや商業施設など、デザイン性が求められる空間でも採用いただけます。環境配慮と意匠性を両立できることが、本製品ならではの価値です。
     環境に優れた製品であっても、現場で使いにくければ意味がありません。本製品は、従来の「レジトン」と同じ設備で加工でき、施工方法も変わりません。新たな設備投資や特別な施工技術が不要のため、住宅、ホテル、商業施設、オフィスなど、幅広い建築物へ導入しやすい製品です。
     また、近年増加しているSDGsや環境認証を意識した建築案件にも提案しやすく、環境性能と施工性を両立した建材です。

    「捨てる」を「活かす」へ。循環型社会に貢献

     最後に、本製品が目指す価値についてご紹介します。「REJITON ecoro」は、約70%の端材を再利用することで、廃棄物の削減や、新規原材料の使用量削減に貢献しています。さらに資源循環の推進や、建築分野における環境負荷の低減にもつながる製品です。
     私たちは建材にも、循環型社会の考え方を取り入れることが重要だと考えております。「REJITON ecoro」は「『捨てる』を『活かす』へ。」この考え方を形にした、新しいリサイクル型人造大理石です。今後も持続可能な建築材料の普及を通じて、環境負荷の低減に貢献してまいります。

       

    特別賞 日本建築材料協会賞
     「搬送システム『ハンソーレール』」 株式会社ダイケン

    「運ぶ」を変え、現場を変える搬送システム

     当社は建築金物の総合メーカーです。創業当初から製造販売しているのが、ドアハンガー「ハンガーレール」という製品です。これは工場や倉庫の大型引き戸を吊るための戸車とレールで、長年多くのお客さまにご活用いただいております。
     今回紹介する「搬送システム『ハンソーレール』」は、当社が長年培ってきたレールの技術とノウハウを生かし、「物を運ぶ」という新たな用途として商品化したものです。
     「ハンソーレール」には、大きく分けて2つの用途があります。一つが、建築現場で資材搬送を行うための仮設足場用。もう一つが、工場や倉庫内で荷物や製品を搬送するための用途です。この2用途について順番に紹介させていただきます。

    喫緊の課題である省人化と省力化に応える

     まずは仮設足場用です。建築現場では、人手不足が深刻化しており、省人化や省力化が大きな課題となっております。特に足場内での資材運送は人力で行う場面が多く、作業者の負担が非常に大きい作業です。そこで、この課題を解決するために開発したのが、仮説足場用の「ハンソーレール」です。
     映像にて実際の使用イメージをご覧いただくことができます。重量物でもスムーズに搬送でき、作業者の負担軽減につながります。ハンソーレールとハンソーランナーを設置し、スリングベルトに資材をセット。ハンソーレールに沿って資材を所定の位置まで搬送します。上階層からホイストランナーに固定したホイストのロープを降ろし、下層階のレールから資材を吊り替えます。そして資材を上層階に荷揚げし、上層階で資材を取り外して次の工程に移行するという流れです。
     部品構成は、レール本体、ハンソーランナー、各種ブラケットがあり、用途に応じて必要な部材を取り揃えております。現場に合わせ、柔軟に組み合わせていただくことが可能です。
     次に、工場や倉庫内での荷物運搬用です。こちらは既存の設備を活用しながら、荷物や製品を効率よく搬送できるシステムです。
    工場や倉庫内での荷物の搬送は、台車やリフトが通れない場所も少なくありません。そういった場所に最適な製品が「ハンソーレール」です。この搬送システムの活用で、各地点間にてスムーズに搬送が可能となります。
     荷物運搬用の部品構成ですが、ハンソーレール、ハンソーランナー、ストッパー、アイボルトセットの4点は、仮設足場用と共通の部材です。荷物運搬用にはハンソー後付けブラケットという部材があり、このブラケットが本製品の大きな特徴です。
     ハンソー後付けブラケットは、既存のH型鋼に穴あけや溶接といった加工を行う必要がありません。H型鋼をブラケットのクランプで挟み込んでボルトを閉めるだけで簡単に設置できる仕組みです。この下側に照明が位置する場合もあるかと思いますが、その際は特注対応にはなるのですが、外側へ持ち出せるようレールを設置することができます。またレールは、平行方向だけではなく、直角方向にも対応可能となっています。
     本製品のメリットを4つのポイントにまとめました。1つ目は独自性で、既存の製品に加工することなく設置できること。2つ目は機能性で、重量物を安定して搬送できること。3つ目は実用性で、建築現場だけではなく、工場や倉庫など幅広い現場で活用できること。そして最後に4つ目が社会性です。本製品は人手不足や労働環境の改善や、安全性の向上に大きく貢献できるものとなっています。

     

    特別賞 日本建築材料協会賞
     「家コネクト」 株式会社タナカ

    地震発生後の建物の状態を見える化するシステム

     大規模地震の際、建物の外観だけでは安全かどうかの判断はできません。しかし専門家による点検には時間を要し、施設管理者や利用者は、建物を使い続けてよいか、避難すべきかをすぐに判断できません。特に避難所、事業所、店舗、共同住宅などでは、地震直後の初動判断が重要になります。そこで開発したのが、建物の状態を見える化するシステム「家コネクト」です。本製品はセンサーによって、地震発生時の揺れや建物の傾きを計測。取得データはクラウド上で解析され、その結果をスマートフォンやパソコンから確認することができます。
     「家コネクト」の流れは大きく5つ。まず、建物の1階部分や上下階にセンサーを設置します。地震が発生すると、センサーが建物の揺れや傾きを計測し、そのデータをクラウド上へ送信。建物がどのように揺れ、どの程度変形したのかを解析します。解析結果は、スマートフォンやパソコンの管理画面で確認できます。
     図下側の「PC管理画面」のように、センサーが設置された建物が計測情報と共にマップ表示され、複数拠点を一元管理できます。計測データは履歴として蓄積され、過去の計測データから現在の状態に至るまでを把握することが可能です。複数の施設に設置すれば、各建物の状態を遠隔から把握することができます。つまり「家コネクト」は、地震の計測のみならず、地震後の建物の状態確認までを一連の流れで支援するシステムなのです。
       特に重要視しているのが、最大層間変形角です。層間変形角とは、地震によって建物の上下階がどの程度、横方向にずれたかを示す数値であり、「家コネクト」はその最大値を計測します。建物の構造、階数、築年数、地盤条件などによって、揺れ方や変形状態は異なります。「家コネクト」では、「どれだけ揺れたか」ではなく「建物がどれだけ変形したか」を把握することで、地震後の点検や対応の判断材料として活用します。もちろん「家コネクト」だけで建物の安全性を判断することはなく、あくまで専門家による点検や避難判断、初動対応を支援するための情報を提供するシステムです。
     耐震金物の開発・製造を行い、自社で年間1,000体以上の躯体試験を行ってきた当社が着目するのは、建物のゆがみです。社内試験機で、木造躯体に対して層間変形角1/30分rad相当まで加力する試験を実施しました。最大加力時には土台部分の大きな亀裂や耐震金物の破断が発生するも、加力終了後には自重によって自然に割裂部分が埋まりました。これは、発生した変形に対して、元に戻ろうとする復元力が働くからです。このことから、大地震や繰り返される地震によって、外観上把握しがたい、見えないダメージが発生する可能性があると考えられます。これを数値化するのが「家コネクト」です。

    計測データを地震後の行動につなげることが目的

     本製品の活用法は、3つの視点が考えられます。
     1つ目は、企業や施設のBCP対策です。本社、支店、工場、倉庫、店舗などに設置することで、地震発生後に各施設の状態を遠隔で確認できます。これにより、従業員の出社や退避、事業を継続するかどうかの判断材料として活用できます。
     2つ目は、自治体や避難所での活用です。避難所となる施設の状態を確認し、どの施設から優先的に点検するべきか、どの避難所を開設するべきか、といった初動対応に活用できます。
     3つ目は、住宅会社や建物管理会社での活用です。地震後の顧客対応や点検訪問の優先順位付け、アフターサービスにも活用できます。
     「家コネクト」は、計測すること自体が目的ではありません。計測した情報を使って、地震後にどこから確認し、どう行動するかを決めるための技術なのです。

     
TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -