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2026年5月1日TOTTEI 緑の丘
海側から見たTOTTEI。奥にはGLION ARENA KOBE、 神戸のまちなみ、六甲山系が見える 神戸市の新港第二突堤の新しいランドマークエリア「TOTTEI(トッテイ)」。観光スポットとして知られるメリケンパークやハーバーランドにほど近く、三ノ宮駅から散策がてら訪れる人が多いウォーターフロントエリアです。ウォーターフロントの再開発が進められる中、2025年4月にGLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)と緑地(TOTTEI PARK)が一体化した新スポットとして開業しました。コンテナ港から都市に開かれた賑わい空間へ
貨物船の係留施設として生まれた新港町の突堤は、コンテナ港としての機能を終え、新しい都市としての役割を更新しつつあります。神戸の都心である三宮エリアにおいて、緑豊かな山際の新神戸駅から海までをつなぐフラワーロードの終起点が第二突堤です。海と山を接続する軸の南端拠点に、大きく開かれた賑わいの都市空間をつくろうと始まったのがTOTTEIの「神戸アリーナプロジェクト」でした。
TOTTEI の北側に位置するGLION ARENA KOBEは約1万人を収容するアリーナ。プロバスケットボールリーグのB.LEAGUE公式戦ほかライブやイベントなどに対応する多目的施設で、国内アリーナ最大級の大型ビジョンを備えています。その南側に広がる緑地が今回フォーカスするTOTTEI PARKです。シンボリックな建造物「緑の丘」が訪問者を絶景へといざないます。
TOTTEI PARKと緑の丘についてご説明くださったのは、TOTTEIを運営管理する株式会社One Bright KOBE 取締役の渋谷(しぶや)樹(たつき)さんです。
「TOTTEIにおけるアリーナと港湾緑地の開発には神戸市と複数の民間企業が関わっていますが、当社が全体を一体的に運営・維持管理することで統合的なエリアマネジメントが可能となり、利用者にとって魅力的な空間を実現できたと思います」と渋谷さん。瀬戸内海と六甲山系を同時に堪能できる緑の丘
緑地部分であるTOTTEI PARKは、芝生広場と緑の丘で構成されており、緑の丘は海を見下ろすように傾斜して、単なる公園にとどまらない立体的な地形を形成しています。緑地面積自体が比較的小さいため、起伏を設けたほうがイベント時の視認性がよくなり、限られた敷地を効率的に活用できるとの考えからです。
「緑の丘の設計には、畑友洋建築設計事務所代表の畑さんを起用しました。理由は、三宮エリア再開発での公共空間の実績があること、新進気鋭の若手であること、そして何より海と山をつなぐ三宮エリアのランドスケープの生かし方をよく理解されていたことです。タイトな工程の中、緑地の最適なデザインをゼロから畑さんと共に詰めていきました」
丘の造形は、芝生をピクニックシートに見立て、一角をめくるように持ち上げる――というのが発想の原点。斜面には、イベント開催時には客席としても使える階段をしつらえ、神戸の海やまちに開かれた屋外劇場のような構造物にすれば、多くの人が集い、賑わう場になるだろうとの意図がありました。
「何度も打ち合わせを行い、国内外の屋外施設を実際に視察しました。特にニューヨークにはそのたぐいの施設が多数あり、かなり参考になりました。そんな中で当社から特に設計サイドに要望したのは、商業施設を組み込んで事業収益を確保できるものにしたいということ、各種イベントを開催できるものにしたいこと、できるだけ高さがほしいということです。そのあたりも細かくすり合わせていきました」
緑の丘の最大高さは約11m。丘の斜面は海側を向いているので、TOTTEIの周りの海や港を借景にした眺望が楽しめて、山側を振り返れば雄大な六甲山系の山並みを一望できるのです。海と山を360度堪能できるという、まさに神戸の魅力が最大限に発揮されているわけです。
緑の丘からは、港と山並みが一望できる
「ピクニックシートをめくり上げる」という緑の丘のイメージ図 緑化土壌の軽量化で全体の荷重を低減
緑の丘は、傾斜させた屋根面に緑化を施し、さらにその上にスティール・グレーチングを階段状に設置しています。 「最も困難だったのは、いかに荷重に耐えうる躯体にするのかという点。1,190枚のグレーチング、水を含んだ土と植物および1,000~最大1,500人分の積載を想定して検討を重ねました。イベント時などは人が客席で飛び跳ねたり動き回ったりするので、耐荷重性は安全性のための最重要事項でした」
この荷重問題の突破口となったのが、緑化土壌の軽量化です。盛土の代わりに繊維状の超軽量保湿土壌を採用することで全体の荷重をかなり抑えることができた上、強風による盛土の飛散防止、塩害に強いササ類の植え付け、高い保水力の確保など多くのメリットを得られました。
丘の内部に入ると、思いのほか多くの開口部が設けられていることに気付きます。ここには共用ホールや、クラフトビール、BBQを楽しめる飲食店が配置され、限られた空間ながらも賑わいを演出する仕掛けが施されていました。また、天井部分が傾斜に沿って美しいアールを描くよう仕上げられていることが分かります。これらの曲線は畑氏のこだわりと職人の手仕事の融合だそうです。細かい部分ですが、ぜひ実際目にしていただきたい職人技です。
TOTTEI PARKでは、散策やピクニックなどの日常づかいはもちろん、さまざまな非日常体験の提供にも努めています。海を背景にした音楽ライブや花火、丘を彩る夜間のイルミネーション、食フェスやヨガイベントなど、TOTTEIにしかない空間体験が味わえます。春や夏には植え付けられた草花が繁茂し、目にも鮮やかな青々とした丘を見ることができるでしょう。
緑の丘の内部にあるホールは多目的利用が可能
内部の飲食店ではクラフトビールとBBQが楽しめる
新感覚の登れるイルミネーション
海を背景にした特別感あふれるライブ TOTTEI PARK 緑の丘 【所在地】 神戸市中央区新港町2-2
【TEL】 0570-030-120(TOTTEIコールセンター)
平日11:00〜19:00 土日祝10:00~18:00
【URL】 https://www.totteikobe.jp/

