2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
ホーム お問合せ
会員団体出展者専用ページ 協会の概要 会員名簿 業種別名簿 品目・業種別分類表 統計資料 関連リンク
建材情報交流会ニュース

 第54回
「これから求められる建材とは」

  掲載情報は全て著作権の対象となります。転載等を行う場合は当協会にお問い合わせください。

基調講演
「住環境の変化に対応して求められる建材とは」

 矢野 稔氏 ミサワホーム 調達開発部長
 

著作権等があり配布資料はありません(当日映写のみとなります)

■コンパクトシティ化による事業内容の変化
 2015年に7,200万人だった生産年齢人口は、2030年に6,773万人に減少すると予想されています。高齢者人口は2030年、75歳以上が25%以上になり、しかもそれが三大都市圏に集中します。また、居住地域の22%が無居住化するというデータもあります。
 国でもいろいろと施策をとっています。人口が減少している地方中核都市で居住誘導区域が策定されるコンパクトシティ化もその一つです。
 それに伴い当社も「まちなかソリューション」と銘打って、郊外型住宅から都市型住宅に商品ラインナップを変えています。90ミリパネルより断熱性や剛性の高い120ミリパネルを標準化し、ZEHに対応できるようになりました(図1)。
 ガレージは、狭小地や防火地域での需要を見込んでいます。都市部では大開口のインナーガレージが必要になってきます。木材の工法は4mしかスパンが取れませんが、5m以上取れると車が2台並べられるので、当社も大開口フレームのガレージをつくろうと試みています。
 リフォームもずいぶん変わってきました。キッチンなど水まわりを新しくするのは、私たちはメンテナンスの延長と考えます。これからの高齢化に伴い、高齢化した後のことを考えたのが「そなえるリフォーム」です。断熱性や安全性の基本的スペックは押さえ、加えてリフォームで先行配管(将来専用トイレを設置できるように)、建具の工夫、移動経路確保などを行います。そして将来の個別対応として、専用トイレや介助スペース、外部アプローチ、手すり設置などを低コストで提供するわけです。このように、将来高齢化したときのことを考えて備えるための商材ラインナップを今つくり始めています。リファイニングとは大掛かりなリフォームのようなものです。築36年の専門学校をマンションにした事例がありますが、リファイニングは今都市部で非常に人気です。当社でもこれから積極的に進めていきたいと考えています。

■コンパクトシティとまちづくり
 コンパクトシティの一番のメインはまちづくりです。千葉県で、病院の建て替えに伴って隣にバリアフリーの商業施設と高齢者向けマンションを建てた事例があります。秋田市のCCRC事例も紹介しています。CCRCとは、元気なうちからマンションを購入し、介護や医療が必要になってもそこに住み続けられるような建物のことです。このようなスマートウェルネス拠点整備もこれからやっていかねばならないと考えています。
 まちづくりに公園は欠かせません。しかし都市部の公園は夜間危険だとされています。都市公園をこれからどうきれいに整備してコミュニティに活用していくのか、それに伴ってどのような商材が必要なのか、国内ではまだ着手されていませんが、公園資材はこれから必ずビジネスになります。高齢者も安心できて楽しめるような公園資材の開発は、当社も急ピッチで進めております。
 建物だけを建ててもだめで、病院とマンションのCCRCプラス都市公園の整備が、あるべきビジネスモデルではないかと思います(図2)。

■省エネ対策補助金による市場の形成
 省エネ対策補助金によって市場がかなり変わってきています。最もインパクトが大きかったのはLED。発売当初に比べて今は40%の価格になりました。LEDは今や国内でほぼ100%普及したと言っても過言ではありません。しかしLEDは長寿命なのでLED業界は喜べないわけで、今後LEDの付加価値がますます必要になってきます。
 2番目の市場インパクト、太陽光発電(PV)は2014年に補助金が終了したとたんに落ちてきました。住宅はZEHの補助金があるので横ばいで、非住宅が落ちています。欧米では送電線がネットのようにつながり、電気がループしているので、ある州で電気がなくなっても隣の州から融通できます。日本ではなかなかそれができない。従って欧米では電力の買取が制限されることもありません。日本ではいろいろなしがらみがあり、それに引っ張られて太陽光発電が減少しています(図3)。
 3番目のエコキュートは累計500万台を超え、補助金が終了しても横ばいである程度の地位を確立しました。エネファームやハイブリッド給湯器などの競合が出て来たため伸びは鈍化しています。4番目のエネファームは補助金が今出ていますが、高価なので補助金が終了すればこれ以上の普及は厳しくなるでしょう。5番目がエコカーですが、車もかなり値段が下がり、ハイブリッドカーもスタンダードになってきました。
 日本人の「エコ」は、環境保全より節約の意識が強いので、補助金がないと買いません。環境保全の意識が強いヨーロッパでは、若干高価でも買われています。

■全ての世代に共通の消費動向からビジネスを考える
 これまで社会動向(国策)による市場について話してきました。当社だけでなく他社も同じことをしていると思います。しかし本当にそれだけでいいのでしょうか。本当に補助金や市場動向だけで会社を運営していてもいいのでしょうか。日本が財政破たんすると、一緒に企業も倒産してしまいます。これからは将来の消費動向を考えていかないといけません。
 補助金は麻薬のようなもの。エコの補助金が出るからといって断熱性能アップにどっと流れる、介護の補助金が出るとなったら今度はそちらの開発に流れる。しかしこれだけをやっていると必ず死角が生まれます。
 全ての世代に共通の消費動向は「健康と美容」です。マイクロバブルなどの水質改善品、男性用美容商品はかなりの伸びを見せています。当社の商品でいうと、PM2.5対応の高性能フィルターが隠れたヒット商品になっています。また、調湿建材、プラズマクラスターイオンによる空気浄化なども伸びています(図4)。
 CSの観点でいうと、今最もポイントが高いのが提案型です。さらに、迅速な対応が満足度に大きな影響を与えることが、当社自身のクレーム対応から明らかになっています。

■これからの現役世代の動向
 今、お金を出すのは祖父母の世代ですが、ものを決めるのはこれからの現役世代、若い人々です。その割に私たちは現役世代のマインドを知らない。これからの現役世代といえば、シェアリング、スマホによるヘルスケア、ICによる自動化、AIスピーカー、ビットコイン、テレワーカー、ハイパーループ……などがあります。
 当社の部材購入の動向予測(2000年→2025年)では、外部部品は7%落ちます。セキュリティは今、付加価値としてお客様がお金を出してくれますが、2020年以降はそれが当たり前になってきます。当たり前イコール価格競争になります。内部部品も落ちますが、まだ光は当たっています。自然志向、健康志向もあってインテリアにはお金をかけています。設備(AIや通信)はもちろん拡大します。
 20代前半から30代半ばくらいまでの、これからの現役世代の特徴について。キーワードは「共感」で、「自分がこう思う」よりも「他人が自分を見てどう思うか」にウェイトが置かれています。昔、バブルの時代はブランドロゴを強調するファッションがもてはやされていましたが、今はファストファッションの流行にも見られるように、少しだけ背伸びしたファッションが主流です。あまりに背伸びするとSNSで「炎上」してしまうからです。さりげなくブランドが分かるようにして、友人から「いいね」と言ってもらいたいという気持ちを持っている……らしいです。
 親子、特に母と息子の距離感が昔と比べて縮まっています。最近は若い男性の8割が化粧水を使っているらしいのですが、その化粧水を選んでいるのは母親です。若い男性が最も心を許して話せるのは、男の親友に次いで2位が母親というデータもあります。また、一生親と住むために二世帯住宅を買うのは、親ではなく息子や娘のほうが多くなっています。
 例えばボランティア、チャリティ、応援消費、動物福祉などエシカル(倫理的、道徳的)な行動は、私たちの世代からすると若者特有のものに思えますが、ボランティア的な感覚は大人になって以降もずっと続くといわれています。一過性のものではないということです。
 エシカル消費とは、環境配慮、地域配慮、人・社会的配慮のための消費のことです。エシカル消費はまだあまり認知されていません。「エコ」が91%、「フェアトレード」が47%の認知度であるのに対し、「エシカル」はわずか12%です。しかしこれは言葉の認知度であり、一度意味を説明すると45%の人が賛同し、それならすでにやっていた、という人は20%です。これらを合計すると90%程度になるのです。物心がついた頃からエシカルな感性を持っているのは日本人だけといわれています。
 「それを買うことによって誰かの役に立つ」というのがフェアトレード商品です。児童労働や強制労働がなく、環境配慮がなされているもので、もともとはコーヒーから始まったようです。今テレビCMでフェアトレードをうたっている企業がフェアトレードのトップランナーとなるでしょう。フェアトレード市場は、イギリスが約1,500億円であるのに対し、日本はまだ16億円ですが、確実に伸びてきています(図5)。

■当社の取り組み事例
 まだまだ道半ばではありますが、当社でもさまざまなものに
取り組んでいます。名古屋のあるメーカーで製造されている車のドアトリムは、インドネシアケナフを使っています。その端材を当社が引き取り、デッキ材にしています。これでケナフ全体の3割くらいです。使用できる繊維の部分はケナフの周りだけで、心材部分だけがインドネシア農家の軒先に野積みになっている状態です。それをどうにかしないと100%貢献していることにはならないので、野積みの心材を建材にしてみる、珪藻土に混ぜてみるなど、いろいろ試しています(図6)。
 こうしてできた完成品が、他商品と同性能、同品質なら、1割高でも魅力ある商材となります。そういう選び方をする現役世代が実際に増えているからです。
 仕上材の植林木利用を現在試みています。アカシアやユーカリ、インドネシアチークは仕上材には不向きとされ、これまでチップなどにされてきました。植林木を基材ではなく仕上材にすることによって付加価値を上げ、その付加価値をマレーシアやインドネシアの人々に提供する。このようなビジネスモデルをオープンにすることによって全体の付加価値が上がっていきます。天然木のチークよりも意匠は劣るかもしれませんが、また別のところに付加価値が生まれると思います(図7)。
 次にホタテ貝殻(北海道)の再利用です。ホタテ貝殻は炭酸カルシウムなので、肥料や石灰、珪藻土にしたり、凍結防止剤にしたり、あるいはそのまま装飾に使ったりと、意外と使い勝手がよい材料です。しかし残念なことに、洗浄された時点で北海道を離れ、加工工程に行ってしまうのが現状です。そこで、粉砕と焼成の工程までを現地で行い、付加価値を高める(戻す)ための活動を始めようと考えており、すでに現在一部で始めています。

■事業チャンスを高めるために
 これからリサイクルをするなら、建築廃棄物よりも動植物系廃棄物のほうが脚光を浴びやすいと思います。例えば卵の殻は年間20万t出ています。バーク(樹皮)も、今多くが野積み状態ですが、燃料としてリサイクル可能なものです。
 竹は、タケノコが中国産になってしまったうえ、竹材が樹脂に取って代わられたため放置竹林が増えている状況です。成長の極めて早い竹をこれからどうするかは非常に重大な問題です。漁業や造園にも利用されていますが微々たるものです。
 お茶の茶殻は5万t、コーヒーかすは50万tにのぼり、これらは飲料メーカーは積極的にこれらのリサイクルに取り組んでいます。
 カスタマーからすれば、「もの」よりも「こと」が大切です。「こと」とは、安全な労働環境の確保、共感意識、労働者の生活を守るしくみなどです。「もの」を売ってもそれがどのようにつくられ、買うことによって誰を幸せにするのか、これからの若い消費者はそこに敏感です。今や、CSR(企業の社会的責任)よりもCSV(共通価値創造)が重視されるようになりつつあります。加えて、世界で2,800兆円が投資されているESG投資(※1)、国連で掲げられた目標であるSDGs(エスディージーズ)(※2)の内容はこれからの現役世代の消費動向と合致していることが分かります(図8)。
 今後事業チャンスを高めるためには、CSV、ESG投資、SDGsの3つの連携を取りながら、「もの」をつくるときにどうすれば現役世代の心をつかめるかを考えることが非常に重要になってくると思います。

※ 1 ESG 投資:環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)
に配慮している企業を重視・選別して行う投資のこと。
※ 2  SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の
略で、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」といった17 の目標が掲げられた。


「自動ドア用センサー/eスムースセンサー」
 竹田 和義氏 オプテックス梶@エントランス事業本部 国内営業部 S&M課 係長
 

データが重いので右クリックしてメニューからファイルをダウンロードしてください
資料はこちら(PDFデータ)

■自動ドアセンサーの課題解決を目指して
 当社は昨年ホールディングス化し、オプテックスグループ株式会社という5社のグループ会社体制になりました。ご紹介するのはその中のオプテックス株式会社による製品です。当社はさまざまなセンサーを開発・販売しています。防犯用途の侵入センサー、運転状態を可視化するセンサー、明かりをつけるセンサーライトなど、この分野は当社の強みでもあります。
 「eスムースセンサー」は自動ドア用センサーです。当社は自動ドアメーカーではありませんが、自動ドアの一部品として、人が来たか来ていないかを判断するセンサーを製造・販売しています。
 自動ドアセンサーの国内のマーケットシェア60%を占めているので、皆さんも2回に1回は当社のセンサーを通して通行されていることになります。自動シャッターセンサー、人数カウントシステムでは共に80%と、こちらでも非常に高いシェアを持っています。
 現在の自動ドアセンサーの課題は、1.セーフティ、2.バリアフリー、3.エコロジーです。自動ドアセンサーは、目に見えない近赤外線を照射し、その範囲に人が入って来たときの光の変化量で、人がいるかいないかを判断します。これだけでは「人がいるかいないか」だけしか分かりません(図1)。
 皆さまも経験があると思いますが、閉まってきたドアが閉まり切る前に通行したい意思が働き、ドアが肩にぶつかる、あるいは転倒するケースが見られます。このような場合の安全性が課題の一つ。そして高齢化社会におけるバリアフリー、気温上昇を少しでも抑えるための環境配慮。
 これらセーフティ・バリアフリー・エコロジーの3点への対策をとるべきだとして開発したのが、人と地球に優しい「eスムースセンサーVVS-1」です。ビルや店舗の顔となる、ドアマンがいるかのような安全・安心・快適を提供できる自動ドアセンサーです。

■セーフティ・バリアフリー・エコロジー
 さまざまな施設の顔となる自動ドアは、その施設のイメージに直結する場所であり、歩行者に気持ちよく利用してもらうためには、快適なドアの開閉を行うことが重要です。「eスムースセンサー」は快適性と省エネを両立させるために、従来の高性能センサーにカメラを搭載し、画像処理技術を用いた業界初の自動ドアセンサーです(図2)。
 カメラによって次の3つのことが可能になり、この3点でセーフティ・バリアフリー・エコロジーをトータルで解決することを目指しました。
 1.通行者の認識。画角の中で、1秒間につき約70人を個別で認識することができます。傘を差したり帽子をかぶっている通行者、小さな子どもも見逃しません。
 2.通行者の動線把握。認識した通行者がどのように動いていくのかを追随します。これまでの一般的な自動ドアセンサーでは、通過する意思のない通行者に対してもドアを開けてしまうことがありました。「eスムースセンサー」は人の形や進行方向を認識することができるため、自動ドアに向かってくる人だけを検出できます(図3)。
 3.通行者の歩行速度把握。自動ドアを“ゴール”とした場合、通行者が“ゴール”に到着するまでの時間を把握します。さらに、従来のセンサーでは対応できなかった、歩行速度が速い人の進入に対しても、歩行速度をカメラで認識して、通行者がドアに到着するまでの時間を判定できるので、歩行者の歩行速度に合った適切なタイミングでより安全にドアを開閉します。
 また、車椅子の方やベビーカーを押している方など、自動ドアの無駄な開閉をなくすために採用されたタッチスイッチに手が届かない場合も安全で快適に通行することができ、バリアフリーに寄与します。
 こうして無駄な開閉をなくすことができるため、施設内の冷気や暖気を逃すこともなくなり、省エネや環境配慮にも貢献できるわけです。

■画像技術を活用してさらなる付加価値の創造へ
 建築物において高齢化社会や環境への配慮に向けた取り組みに加え、自動ドア業界でも、2017年に「歩行者用自動ドアセットの安全性」がJISの規格として制定されるなど、セーフティ・バリアフリー・エコロジーは今、市場でますます求められています。「eスムースセンサー」はこれらをバランスよく実現した製品です(図4)。
 カメラによる画像技術を搭載したセンサーの発売は、自動ドア業界で今回が初めてとなります。今後、「自動ドア×画像」という技術を活用して、昨今注目されている画像認証や防犯カメラの補助的な用途も可能ではないかと考えています。皆さまのご協力もいただきながら、新しい付加価値を探していきたいと思います。


「指紋認証 電池式ドアロック/Smart−Ashley+F」
 平田 善照氏 安田梶@営業推進部 セキュリティー事業グループ リーダー

データが重いので右クリックしてメニューからファイルをダウンロードしてください
資料はこちら(PDFデータ)

■既存錠前を利用して手軽にオートロック化を可能に
 この製品の特長は、従来使用している既存の錠前を使って簡易的にオートロックできることです。認証方式と解錠方法は、指紋認証、暗証番号、非接触カード、スマートフォン、既存シリンダーと多様です。さらに、オリジナルのアプリケーション(Smart−Ashley)で解錠でき、ワンタイムキーの使用も可能です。
 商品自体にモードが3つ(ユーザーモード・マスターモード・管理者モード)あり、使用方法に合わせて変更することができます。
 設置可能な扉は次のようなものです(図1、2)。設置面がフラット(平ら)であることが最も重要で、何らかの化粧が施されていると設置できなくなります。
 対応扉厚は33mm〜50mm。大体の住宅やマンションの扉はこれくらいの厚さなので、この範囲内なら取り付けが可能です(図3)。
 扉の戸先からシリンダーのセンターの部分はバックセットと呼びますが、そのバックセットが38mm、51mm、64mm以上の扉ならば設置可能です。
 商品にはシリンダーのカバーを付けるので、シリンダー高さとしては31mm以下です。これも鍵のメーカーで扱っている各種シリンダー高さを調べた上で設定しました。内部側にドアガードやドアチェーンがあると思いますが、それらが干渉しないことが条件です。
 対応錠前は、MIWAのLAタイプとLSPタイプ、GOALのLXタイプとTXタイプ、Clavisのピン止めタイプとビスピッチ26のタイプ、SHOWAのTOSTEMから出ているTLSPタイプ、WESTのピン止めタイプです。錠前のデッドボルトが出るところにメーカー名と刻印などが入っています。先ほど述べた通り、化粧やドアガードがある場合は取り付けにくくなる場合があります。

■多様な認証方式
 認証方式について解説します(図4)。当社は、指紋認証技術世界NO.1の企業と14年前から提携しています。指紋照合の世界では、指紋照合協議会(FVC)という、指紋照合ソフトウェアの評価に重点を置いた国際競技会があります。当社の提携会社は、世界各国が参加するFVCで指紋認証アルゴリズム3年連続第1位の実績を誇る技術を持っています。指紋認証はそのアルゴリズムを採用した電池式の機器で、指を置くだけで簡単に認証するオートセンサーです。
 暗証番号の使用方式は、最近よく見るランダム系のキーではなく、当社の場合固定式です。ダミーの番号を2桁入力し、その後に暗証番号を入れる仕組みです。
 非接触カードは、FelicaやMifareをよくお聞きになると思います。鉄道でよく使われるカード、最近ではセブンイレブンのnanaco、イオン系のWAONなど、このようなカードで登録が可能です。
 スマートフォン認証は、i-OSとAndroidの両方に対応しています。「Smart−Ashley」をApp Store あるいはGoogle playで検索すれば、無償でアプリをダウンロードできます。
 既存シリンダーの場合、シリンダーにカバーがかぶされているのですが、商業施設やマンションでマスターキーなどの対応が必要になることがあるので、そのようなケースでも対応できるようにしています。

■オリジナルアプリと3種のモード
 これは実際にアプリをダウンロードしていただければ一番分かりやすいと思います。スマートフォンを振るだけで解錠できるシェイク機能という面白い機能があります。バックグラウンドで起動していることが条件です。
 D-KEY機能(ダイレクトキー)という、直接スマートフォンを本体に登録して解錠する方法や、i-KEY機能(インターネットキー)といったものもあります。
 i-KEYは、Aさん(管理者)とBさん(ユーザー)がまずアプリをダウンロードし、2人のメールアドレスとパスワードを登録すれば、AさんからBさんのアドレスにワンタイムキーを発行してBさん側で解錠できるというものです。今は民泊などでよく使われているようです。ワンタイムキーは1分単位で登録可能です。
 基本のモードとしてユーザーモードがあります。指紋200指、カード200枚、共通のパスワードが一つ。個別抹消や履歴管理はできない仕様で、あくまでも一般住宅での使用がメインです。
 マスターモードは、上記の機能にマスター指紋5指、マスターカード5枚、マスターパスワードを組み合わせたものです。マスターは使用者のシャットアウトが可能となり、賃貸住宅での使用に便利です。
 管理者モードは、指紋やカードにID番号を振り分けることによって履歴管理ができます。カード紛失時などで個別カードの抹消も可能です。


「特殊ポリマー製 防護バリア/iFLex」
 A-Safe
 

当日配布資料のみ

■イギリス発、世界初のポリマー製防護柵に
 当社は2018年1月に日本法人を開設したばかりです。「防護柵および安全ソリューションのグローバルリーダー」として、これまでグローバルに展開してきており、特殊ポリマーは15年以上海外で販売してきました。イギリスが本社なので、基本的にはヨーロッパ、北米、オーストラリアが主流でしたが、このたび初めてアジア地域で日本法人を設立しました(図1)。
 今回優秀賞を受賞した製品は「特殊ポリマー製防護バリア/iFLex」といい、総合カタログの中では約15種類が「iFLex」の名称をうたっています。これまで「eFLex」「mFLex」といったいろいろな種類がありますが、この「iFLex」が最も新しい製品です(図2)。
 映像で紹介した動画は、当社が展示会などでよく紹介しているもので、1回フォークリフトが当たったときに衝撃を吸収して、その後形状記憶している防護柵が元の形に戻るというものです。フォークリフトには傷が付かず、防護柵も床からはがれ落ちないので、最終的にはコスト削減につながります(図3)。
 鉄製防護柵と「iFLex」に同じ衝撃を与えた実験では、鉄製のほうでは床自体がはがれてしまい、新しい防護柵を設置する必要が生じることが分かります。これではコストがかかってしまいます。これに対して「iFLex」のほうでは何事もなく原型が回復されています。

■厳しいテストによる自社開発製品、日本で販売開始
 「iFLex」の断面は、白・黒・黄色の3層構造のロール状です。形状記憶性と強靭性を併せ持ち、衝突時に伸縮して衝撃を吸収・分散し、原形を回復します。イギリスで「MEMAPLEX」という名称で特許を取得しました。 「MEMAPLEX」は、絶え間ない研究開発とテストによる確かなパフォーマンスでその性能が保証されています。テストはTUV(世界的な第三者認証機関)認証取得の自社試験設備により、業界に類を見ない過酷試験を実施。
 現段階では製造、開発を進めており、今月から日本で在庫する体制をとり、販売していく予定です。

■さまざまな要求に適合、あらゆる業界で導入
 「iFLex」は動画や資料でご覧の通り、非常に簡単で単純な製品です。お客様から「どのような業界での需要が多いか」とよく聞かれますが、フォークリフトや車両が人と混在するようなあらゆる製造業です。
 あくまでもグローバルな導入実績ですが、日本も含めて、駐車場、倉庫・物流、食品・飲料メーカー、自動車メーカー、空港、いろいろな所で当社の製品が導入されています。
 当社製品の特長は「MEMAPLEX」自体が劣化しにくい素材であることです。鉄なら錆びていくと粉状のゴミが出て衛生上に問題が出てきますが、当社製品はゴミが出ない素材です。そういった理由で食品・飲料メーカーからも多く採用されているわけです。
 耐化学薬品性に関しては、さまざまな化学薬品で試験を繰り返した結果、特に何らかの薬品に弱いといった素材ではないということが分かっています。洗浄液をかけるテストでも問題ありませんでした。
 高温・低温に関しては、メーカー保証としては高温で50℃、低温で-10℃まで耐えることができます。
 その他、鉄のような腐食がない、湿度や紫外線にも耐えられるといった特長がある素材です。

■圧倒的な費用対効果
 当社製品は、先述した素材の特長から、製品寿命が長いのが大きな特色です(図4)。@衝撃に耐え、交換頻度が少ないA床・車両・施設の損傷軽減、操業ロス回避Bメンテナンス費用の削減 —再塗装不要、錆び・腐食・湿気・化学変化に強い
 —定期保守に要する人件費の削減
 —ライフサイクルが長い
 10年、15年、20年という中長期的な期間で考えたとき、鉄製の柵を付けるよりはメリットが高いとして、当社のような製品を採用いただくことが多いです。
 総合カタログの最後のページに製品一覧を掲載しています。そこに、各製品が何J(ジュール、衝突強度の単位)まで耐えられるかを記載しました。
 当社ではそれぞれのお客様の現場に応じて、想定されるJに耐えられるような製品を紹介しています。従って結果的に安全が確保でき、コストもかなり削減できるのです。
 日本では今年始まったばかりですが、建築資材として長い目で見ていただければと思います。


「日よけ・外装商品/金属製フラクタル」
 生田 英和氏 潟Iズ・ワーク 代表取締役社長
 

データが重いので右クリックしてメニューからファイルをダウンロードしてください
資料はこちら(PDFデータ)

■ヒートアイランド対策の課題からみえたフラクタルの活用に
 現在、ヒートアイランドを緩和するためにさまざまな対策がとられています。
 敷地の一定以上の緑地化の義務付けや、屋上緑化・壁面緑化による建物や敷地表面などの被覆といった、都市緑地法の活用。クールスポット創出支援事業・ドライ型ミスト発生装置の設置などのヒートアイランド対策助成といった、行政面からの支援。あるいは、空調機器や建物断熱などの性能向上による排熱量の削減(省エネ)、ビルなどの建物配置や形状の変更による風通しの促進。
 しかし緑地化には、落ち葉や害虫などの環境対策、導入時や管理維持にかかるコスト、スペース確保など、表面化しにくいさまざまな課題があるのが現状です。
 そこで当社が提唱しているのが、「人工フラクタル日よけ」です。これは京都大学大学院の酒井敏教授によるヒートアイランド研究から生まれた発明です。
 夏に都市部が暑くなるのは、表面を覆うコンクリートやアスファルトなどの高温物体から発生する輻射熱(照り返し)が要因であり、有効な対策は、気温を下げることではなく表面温度を下げることだとして、その研究成果として人工フラクタルが考案されました。
 フラクタルとは、自然界が長い年月をかけてつくりだした構造で、葉脈の模様、樹木の枝分かれ、地形に見られる一部分と全体の図形が自己相似になっている幾何学の概念です。
 現在、酒井教授の特許の実施許諾権を2企業が取得し、布製品と樹脂製品に展開し販売しています。
 現行の布製および樹脂製のフラクタル日よけは、商業施設の屋根の一部や保育園、公園などのパーゴラなどで利用されています。しかしそれぞれに課題があります。一つは、どちらも不燃ではないため都市部の密集地域で採用されにくいこと。もう一つは、屋外構築物としては耐候性や耐久性に難点があること。
 何より、フラクタルという特殊形状のため、製品原価、付随する施工費や運送費などのコストがかさみ、なかなか手が出せない商品となっています。結果、ヒートアイランド対策に画期的な発明であるにもかかわらず幅広く普及していないのが現状です(図1)。

■金属製フラクタルの開発
 当社では現行フラクタル製品の課題を解決し、フラクタル日よけの普及を図るため、得意分野である金属プレス加工技術を用いて「金属製フラクタル」の開発・製品化を行いました。今年3月に製品化に到達するまで、9年の歳月を要しました。
 防火性・耐久性確保のために、高耐候溶融亜鉛メッキ鋼板に粉体塗装仕上げを採用し、都市部のビル、マンションなどの居住空間や、人が多く集まる駅などの密集エリアへの設置を可能としました。
 コスト面では、従来のフラクタルよりもトータル的なコスト低減に努めました。@製品コスト…順送プレス加工技術により安定した品質で製造コストの低減を実現。A輸送コスト…製品を重ね積みできる3次元プレス設計で積載容量の低減を実現。B施工コスト…専門的な施工チームが必要だった現行フラクタル商品の一番の問題点は施工性。今回、従来の有孔折板と同様の形状設計により既存施工での汎用化を実現しました(図2)。
 実験結果の紹介です。遮熱性能では、酷暑といわれた今年7月の35℃の環境下で、金属製フラクタルと金属サイディングの表面温度を測定しました。結果、金属製フラクタルは、サイディングより約12℃低い温度を示しました。金属であっても、フラクタル構造は製品自体の放熱効果が高いことを確認できました。製品自体の温度が上昇しないことからも、輻射熱を抑えることができるといえます(図3)。
 もう一つの実験が防風性能です。フラクタル構造は樹木と同じ性質を持つため、防風林としての性能を発揮し、強風を和らげる減風効果もあることが風圧実験で分かりました。
 施工事例にはカーポート、エントランス、パーゴラがあります。3次元構造により、明るく開放的な空間を提供、木漏れ日をイメージさせることで視覚的に涼しさを感じさせる効果があります。これらの事例は、従来の折板やフェンスと同様に、既存の部材を下地材に使用し、ビスとボルトで留め付けるという、何ら特別なことを必要としない施工でした(図4)。
 耐久性・機能性[遮熱・減風] ・デザイン性を併せ持つ金属製フラクタルは今後、オフィスビルや立体駐車場、商業施設、駅・ホームなどの外装建材として設置可能です。特に都市部の壁面緑化、屋上緑化の代用として大いに活躍が期待できると考えています。
 フラクタル日よけ製品の活用は、ヒートアイランド現象の対策に効果を発揮し、快適な都市生活に貢献できると確信しています。



「超軽量天井システム/Stretch Ceiling System」
 山内 武氏 棋天 代表取締役社長
 

データが重いので右クリックしてメニューからファイルをダウンロードしてください
資料はこちら(PDFデータ)

■軽量で安全安心、かつ高い意匠性を兼ね備えた製品
 当社は看板やテントの製造・販売を43年間続けており、その技術やノウハウの延長として開発したのが今回ご紹介する「Stretch Ceiling System」です。
 天井材、壁面の材料など、人間の頭の上にあるものをできるだけ軽くしようと考えてできあがった製品です。通常は軽量鉄骨天井下地にボードなどを取り付けた構造体を、薄いPVCの膜やガラスクロスで構成して天井材に使ってみようと試みました。
 製品を目にする状況がなかなかないのですが、簡単に説明すると、PVCフィルムを天井に差し込んでくっつけるというイメージです。
 もともとは北欧で生まれました。北欧生まれの美しさと日本規格の安全性を持つ天井がつくれないかと思い、開発いたしました。最先端のものではなく非常にオーソドックスで、手づくりみたいなものですが、仕上がりは美しく、意匠性にも富み、安全性も担保した製品です(図1・2)
 特長は3点。一つ目は優れた特性。膜素材は非常に軽量かつ柔らかく、天井の落下対策に最適です。耐火性(防炎認定)、耐湿性にも優れています。
 二つ目は無限のデザイン性。色のラインアップは豊富で、グラフィック印刷も可能です。質感は、グロス・艶消し・サテン・透明・メタリックから選択できます。
 三つ目は自由な設計。膜天井の後ろ側には ワイヤーや換気システムを隠すことができます。天井の表面には、ランプ、煙探知機、換気口などが設置可能です。
 必要な構成商品・部材は、PVC Stretch Ceiling Filmと取付用部材(壁面用、天井用)。フィルムは現場事前調査確認に基づいて、オーダーメイドで製作・加工しています。

■単純な構造、簡単な施工で表情豊かな天井に
 構造は簡単です。リニューアルやリノベーションで、既存の天井を落とすのではなく、大昔のひる石(吹き付け材)天井や経年劣化したボードを、アルミ部材とフィルムで構成したパネルによって覆うだけです。仮に地震が起こった場合でも、ボードをフィルム全体で受けることができます(図3)。
 加熱すると伸び、冷めると縮むというPVCの特性を利用して、大型ドライヤーのようなバーナーで加熱しながら伸ばしてフレームに差し込むと、冷めたときにピンと張るのです。もしシワがよっても、その部分を再度温めると、冷めたときに勝手に縮んでシワがとれます。仕上がりで問題になるようなところはないので、お客様の満足度も高いと思います。
 当然ながら、天井には配管、空調、ライトなどが付いているので、レベル面±0、もしくは-10mmくらいの位置までダウンライトなりスプリンクラーなりを配置し、後はその形状に合わせてカッターでカットします。非常にアナログな手法なのですが、PVCの特性上、横に裂けることはありません。
 このような特性を利用して、光とのコラボなどデザイン性の高い天井も構成することができます。ヨーロッパから発信されたものなので、これまでにないヨーロッパ風の表現もできて新鮮味があるのではないでしょうか。

■さまざまな提案を検討、今後の市場で反応を期待
 フィルムの色と表面仕上げは非常に豊富です。グロス感のあるつやつやしたフィルム、マット感のあるフィルム、あるいは印刷を施したものや吸音機能を果たすもの。これらとLED照明をコラボさせて天井にさまざまな表情を演出できます。グロス感のある素材はフロアが天井に写り込んで天井が高く見える効果もあります。
 膜天井とカーテンレールが一体となった新製品もあり、今後市場の反応を見てみたいと思っています。
 避けて通れないのが不燃の問題です。当社で不燃認定番号をとり、不燃材が必要なロケーションの場合は対応できるようにしています。
 光天井の断面図です(図4)。LEDを天井面に付け、三角の形状をしたフレームをVばね固定金具で固定します。一番外側に不燃膜材を配置し、フィルムを巻き込んでテンションを加えます。その内側に虫避け用のPVC透明フィルムを差し込んでVばねではめ込みます。
 照明器具の交換などのメンテナンスは、メンテナンス用フックをパネルの目地に入れて引っかけ、VばねがVばね受け金具に引っかかるところまでパネルを引き下げ、パネルが外れることによって可能となります。
 設計の専門家の方々のところに持って行っていろいろと試行錯誤する中で、三角形の形状のアルミフレームを上からワイヤーで吊ったり、光らせる必要がないときは、三角形の剛性の高さを利用して不燃の光らない天井をつくったりするような提案もできるのではないかと思い、現在開発を進めているところです。


建材情報交流会ニュース一覧へ
 

 


Copyright (C) 2007 JAPAN BUILDING MATERIALS ASSOCIATION. All rights reserved.