2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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建材情報交流会ニュース
  第4回「建材情報交流会」 ”快適空間 −温熱環境 PART-I”(面暖房と断熱材)

*機関誌「けんざい」掲載分です。ホームページ用に再編集しておりませんのでご了承ください
  
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「床暖房を中心とした温度バリアフリー 高齢社会 床暖房の意義と省エネルギーについて」
 大阪ガス(株) リビング開発部 企画開発チーム 課長 遠座 俊明氏
資料はこちら(PDFデータ)
増加するヒートショック
 最近、「ヒートショック」が話題にされています。ヒートショックは、高齢者が室内の急激な温度差で血圧変動を起し、突然倒れるというもので、冷え込む1月、2月の時期に最も多くなります。このヒートショックが一番多い場所は浴室です。住宅にかかわる不慮の事故死数の統計を見ると、高齢者の浴室での事故死が圧倒的に多く、毎年、1万5000名が浴室で亡くなられています。これは交通事故死者よりも多くの人が、浴室で溺死しているということです。しかも高齢化の進展とともに増加傾向にあります。
 高齢者の入浴前から入浴後までの血圧変動を見ると、入浴前から脱衣する間に血圧が上昇し、浴槽内に入ると急激に下降します。さらに着衣時にも再び上昇します。(図1参照)これは、温度の変化でこれだけの血圧変動を示しているということです。浴室や脱衣室の温度が10℃の場合で、青年でも20mm/hgほどの変動があります。健康な高齢者で50mm/hgほどの血圧変動を起します。これを防ぐには、脱衣室と浴室の温度を約25℃に保つ必要があります。東京消防庁の報告書によると、浴室暖房設備所有住宅の事故発生率は未所有住宅と比べ、「1/12以下になる」となります。自動車のシートベルトをつけた時、危険性が1/8に減少しますが、それ以上の効果があるということです。それだけヒートショック対策の暖房が重要なのです。
床暖房の効果
 ヒートショック対策には床暖房が非常に有効です。暖かい布団から温風暖房した部屋と床暖房した部屋に出た場合、温風暖房をした部屋に出て来た場合の脈拍は102、床暖房の場合は77です。その意味で床暖房の方が体に優しいのです。床暖房は「温度バリアフリーな暖房」です。足の裏は神経が集まっていて、いわば人体の温度センサーとも言える場所です。足の裏で「冷たい」と感じると、寒冷昇圧反応という生理現象を起し、血圧を上昇させてしまいます。足の裏が接触する床面が暖かい床暖房ならば、この寒冷昇圧反応を抑制するということです。それから、床暖房は温風暖房などに比べ、室温自体は低めに設定できます。このため、暖房していない他室との温度差がつきにくいのです。
 私どもが実施している床暖房の健康効果アンケートによると、「冷え性が和らいだ」という方が、約80%ほどおられます。そして、「リュウマチの痛みが和らいだ」「ぜんそくが和らいだ」という方が75%。また、アンケートとは違いますが、温度が一定しているため寝つきが良く、安眠効果が高いという実験結果も出ています。床暖房はヒートショックへの効果だけでなく、健康への効果も期待できるのです。
 つまり床暖房は、特に高齢者に適した暖房と言えます。WHOの定義では、高齢者の人口比率が14%を超えると「高齢化社会」、17%を超えると「高齢社会」になりますが、関西圏では大阪市や京都市、和歌山市などが「高齢社会」になっています。関西の大都市は日本の大都市の中でも、高齢化が進んでいて、京都市は全国の制令指定都市で2番目、大阪市は3番目です。これが15年後には、郊外のニュータウンなどで人口の4割強が高齢者という自治体も現われ、近畿全体が高齢化するのです。
 近畿2府4県の2000年の世帯主の年代層を見ると、一番多いのが50歳代の団塊の世代が世帯主の家庭。そして次に多いのは40歳代ではなく、60歳代の世帯です。つまり中高年が市場の中心になっているということです。全国の医療費を年代別に比較すると、老人医療費は10兆円を超えています。その中でも循環器系が4兆円近くありますが、これは卒中をはじめとする、血管性の疾患です。この医療費削減のためにも卒中を減少させる温度バリアフリーが必要だということです。
 お隣の韓国の住宅は伝統的床暖房の「オンドル」を使って暖房をしています。このため韓国では全室暖房がほぼ100%採用されています。オンドルは、かまどの排熱を利用して床下に通す仕組みで、2000年ぐらいの歴史があります。このため韓国では「床暖房は住宅に必ずあるもの」という認識をしています。最近の韓国は集合住宅が多いのですが、この集合住宅でも全室暖房が採用されています。これはほとんどが温水式で、ボイラーから温水配管がキッチンまで来て、そこから分岐されて各室に温水が流れていきます。その意味で韓国は暖房先進国です。日本でも全室暖房が少しずつ出始めていますので、今後はもっと普及するはずです。
快適さと環境性の両立
 ただ、良い住環境を作るだけでなく、省エネルギーを筆頭に地球環境への対応も必要です。床暖房とエアコンとの温冷感を比較すると、約4℃の差があることが実験で分かっています。つまり、床暖房で18℃の室内とエアコンで22℃の室内の体感温度が同じということなのです。さらに今年7月には建築基準法が改正され、新築住宅の常時換気が義務付けられます。このため暖房空気が換気で排出されるエアコン暖房より、輻射で直接人体をあたためる床暖房のほうが有利だと考えています。
 また、大阪ガスでは設備としての省エネルギーシステム「コージェネレーション」を開発しています。このシステムでは、都市ガスをインプットして燃やし、発生した1500℃の熱を使って発電をします。そして電気として取りだせなかったものを暖房に有効利用して給湯に回します。発電所で作られたエネルギーはそこで消費される資源エネルギーの4割程度しか電気に変わりません。さらに途中の送電ロスでエネルギー効率が低下してしまいます。これが都市ガスならば100%利用場所まで伝わるので、ロスが少ない。この分散電源を行えば、これまでの倍のエネルギー効率が得られるのです。
 新聞紙上を賑わしている燃料電池もコージェネレーションです。燃料電池は水の電気分解の全く逆で、水素と酸素を電解質の中で分けると電位差が発生し、それを繋ぐと電気が発生するという仕組みです。もともとNASAの宇宙ロケット技術を民間に転用したものですが、電気ができると同時に発熱反応するので熱もとれる。だからコージェネレーションなのです。燃料電池は一発で電気を起すので、非常に効率の良い発電が可能で、総合で75%ほどの効率が得られます。
 ただコストの問題もありますので、即普及するかは分かりません。そこで今すぐ、省エネのニーズに応えるため、本田技研のエンジンを使ったコージェネレーションシステム「ECO WILL」を発売する予定です。このシステムは給湯、暖房、電気を丸ごと省エネしてしまうので、一戸建て住宅でこれまでの10%ぐらいの省エネが可能です。やはり、今後はこのような快適さと環境性を両立させるシステムが求められているのではないでしょうか。

「PTC(Positive Temperature Control)と床暖房」
 (株)アトラス 四国工場 技術担当 真鍋 輝正氏
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PTC発熱体の特徴
 温度変化に対して電気抵抗が変化することを「熱抵抗変化」と言います。その中で温度が上昇すると抵抗値が増えていくポジティブな特性を持った抵抗体がPTCです。従ってPTC発熱体を用いたヒーターだと、温度が低い時は沢山の電気が流れます。電流が大きいということは電力も大きいですから、電力が大きくなると発熱量も大きくなるということです。つまり、起動時は電力が沢山流れるので早く暖まります。従来の電気床暖房は起動が遅いという欠点がありましたが、PTC発熱体はこの欠点を補うものなのです。
 さらに温度が高くなると、抵抗体が増加するので、消費電力を抑制し発熱を抑えます。このため、必要以上の温度上昇はしないので、発熱体全体が安全装置の役目を果たし、サーモスタットや温度ヒューズのような機械的部品が必要なくなります。このため、人にも建物にもストレスが少なくなるのです。
 標準的なフローリング構造で、外気温度を5℃、室内温度を18℃、床表面温度を30℃、発熱体温度を40℃、発熱量は160W/m2と床暖房を想定し、発熱体から室内への熱環流率を計算すると、座ぶとんの無い場合は6.27W/m2・℃で、座ぶとんを置くと0.98W/m2・℃となり、座ぶとんを置くだけで断熱をしてしまうことが解ります。
 この状態で各部の温度を測定すると、銅やニッケルのような固定発熱体は一定の電力なので、座ぶとんを置くと断熱され、発熱体とフローリングの温度がどんどん上昇していきます。これは危険な状態です。ところがPTCを用いた発熱体だと、座ぶとんを置くと表面温度が上がることで抵抗が増して、消費電力は減少します。このため座ぶとんを置いた場合でも、温度があまり上昇しないのです。
 面で考えてみた場合、電気用品は、0.8m2あたりに2個以上の温度ヒューズ付きサーモスタッドが必要になります。そしてさらに広くなると、0.4m2あたりに1個義務付けられています。サーモスタッドは普通75℃ぐらいの設定で、温度ヒューズは105℃となっています。この上に座ぶとんを置くと、ヒーターの温度が上昇するとサーモスタットが働いて通電が止まります。するとこの回路周辺は暖房しなくなります。これが続くと、サーモスタッドのスイッチのON・OFFが連続して起こるわけです。これが何らかの拍子に溶着した場合、非常に危険な状態となるので、直列で温度ヒューズがついているのです。
ヒータス床暖房システム
 私どもの「ヒータス床暖房システム」はPTC面状発熱体を使用しています。これはPTC発熱体自体が80℃や90℃にならないからで、床暖房としての熱量を得るために、PTCを面状にすることで発熱部分を拡大し、必要なエネルギーを放出できるようにしています。そして熱効率を良くするため、発熱体の下部に5m2厚の補助断熱材を使用し、熱効率を良くしています。従来型床暖房とヒータスの温度上昇と消費電力を比較すると、従来型床暖房が約30分ほどかかるのに対し、ヒータスは10分ほどで暖まって安定します。
 また、PTCヒーターは必要以上に温度が上がらないので、キッチンの足下などの部分暖房に使用するケースが多くなります。特に、温度調整をしなくても温度が上がり過ぎることが無いので、床暖房に適した素材だと言えます。ただ、いくら安全だとは言っても、ある程度の出力は必要なので、この特性を活かしながら研究を進めて行きたいと考えています。

「面暖房の効率化と断熱材」
 フクビ化学工業(株)理事 小林 利彰氏
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シックハウスの矛盾
 フクビ化学工業の子会社でAHS(エアサイクルホームシステム)というフランチャイズチェーンの住宅メーカーがあります。この企業は設立から20年になりますが、家の中の空気を循環させるという考え方で住宅を作っています。このAHSの考え方を元に、家全体の断熱も視野に入れながら説明をしたいと思います。
 シックハウス問題を解決する手段として、建築基準法が7月に改正します。元々この問題はシックビルからスタートしたもので、平成8年、4省庁にわたってスタートした「健康住宅研究会」で考えられはじめました。この「健康住宅」という言葉はAHSが商標登録を持っていて、20年前から健康住宅という発想を持っていました。しかし、研究会で言う「健康住宅」は、「住宅の室内空気汚染による継続的な人体被害を最小限にする住宅」と、全然違う意味で定義付けられています。この発想は「家は住む人に被害を与えるもの」つまり「家は加害者」という想定から入っているのです。
 品確法を国会で通す時は、議員の付帯決議が必要です。議員の付帯決議というのは非常に重いもので、議案が通りやすくなります。これはシックハウスを「第二の非加熱製剤、第二のBSEにするな」という意思の現れです。これは全く内容を混同した考え方です。ここではホルムアルデヒドとクロロピリオスが対象となっています。クロロピリオスは防蟻剤でサリンの仲間ですから仕方ありませんが、ホルムアルデヒドや有機リンはどうかと思います。
 建築基準法は最低限の基準を決めるものです。ここに二つの薬品名が入るというのは異常なことです。あるVOCの権威の先生に「この二つの薬品が入るのなら、もっと多くのものが規制されるのでは」と聞くと、「そうだろうね。ただし、今はシックハウスと言われると誰も反対できない」という答えが返ってきました。例えば、厚生省は次から次へとWHO並みの基準にしようと、50品目を挙げようとしています。またホルムアルデヒドだけでなく、アセトアルデヒドも規制されようとしていますが、アセトアルデヒドは二日酔いが3人いるだけで基準値を超えてしまいます。
 今回、ホルムアルデヒドの規格としてE0スーパーという表現をしています。昨年5月の建築リサイクル法の時、木材リサイクルの話をしましたがその時、「E0では駄目です。経済産業省はE0スーパーを推奨しています」と言いました。この基準値0.3mgにほとんどの住宅メーカーは合わせて来ると思います。これを住宅に求めてくるのは問題です。
 ホルムアルデヒドは昭和47年に安全衛生基準が出ています。もともと衣類の漂白剤や柔軟剤に使われています。これを「赤ちゃんの衣類に使ってはいけない」ということを定めたものです。家具でも昔の基準で言うE3、つまりベビータンスだけで使用を制限されていたものです。この片落ちの制度が住宅に持ち込まれてしまったということなのです。ホルムアルデヒドに関わるものとしては、まずグラスウール。グラスウールはユリア樹脂を接着剤に使っています。ただこの業界は大きな業界なので、JISもJASも規格が定められているので、上位規格をやるでしょう。ところが問題なのはJISもJASも無いユリア樹脂の業界などでは非常に厳しい。
 そして、建築基準法改正には換気設備の義務付けがされています。ここで言われている床面積あたり15cm2以上の隙間相当の家はほとんどありません。加えて「外壁などの開口部に木製建具を」というのですが、大きなお寺でもなかなかありません。つまり普通に建てられている家は換気設備を義務付けられているわけです。この第1種換気は吸気、換気共に強制換気です。第2種換気はクリーンシャワーのような考え方なので家には使いません。第3種換気は排気を強制して、自然の空気を入れていくやり方。もう一つパッシブ換気というのがあって、これをどう評価するかが問題となっています。
6面輻射で新しい暖房
 日本建築学会が3年がかりで調べ、科学技術庁がまとめた「室内化学物質空気汚染調査委員会」で、人体が化学物質を摂取する経路のほとんどが空気からということが分かっています。そしてこの委員会は「あなたは床の空気を吸っている!」という結論を出しました。人間は常に代謝していて、この発熱で上昇気流を引き起こしています。そしてこの床から上がってきた一番汚染されている空気を吸っているのです。立っている時は床面から53%吸っています。これが寝た時は73%となります。つまりシックハウスを考える時、床面の素材や空気をまず考える必要があるのです。
 現在の暖房はエアコンや石油ストーブなどの対流式が多く使われています。この対流式の暖房は床面のホコリを吸い上げ、空気を汚してしまいます。そこで私どもは天井暖房を勧めています。天井からの輻射熱で部屋を暖めようという考え方です。太陽光の中で一番人間の体に優しい遠赤外線を利用したもので、ハウスダストの問題も起こさず、肌や喉にも優しい暖房です。さらに天井を使うと直接人体に触れることが無いので、やけどの危険性もありません。これまで天井は盲点でしたが、非常に有効だと考えています。
 また日本の暖房は湿気との戦いです。そこで当社では壁や天井内に通気させ、外張断熱を行う方法を提案しています。外張断熱をすると基礎断熱になります。基礎断熱をすれば床下空間が居住空間と同じになります。そこに温水パイプや電熱パネルなのどの熱源を入れ、空気をまわすと部屋全体が6面輻射になる可能性があります。そしてこれを通気すると、パッシブ換気にもなって温度差も無くなります。いずれにせよ、今後は面を熱源として利用することと、シックハウス対策と断熱がテーマとなるはずです。今後も研究を続けていきたいと考えています。

「現場施工の断熱工法─塗材」
 関西ペイント販売(株) 建築塗料技術センター 課長 吉田 彰氏
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 当社は断熱工法用の塗材「ドリームコート」を販売しています。このドリームコートは、断熱機能を持っています。そして外壁に塗りますので、壁自体にひび割れが入った時のため、素材自体を柔らかくしています。それから内部結露で、断熱材が水を吸って下に落ちてしまうことがあります。このため、中に湿気がこもらないよう、塗膜そのものが湿気を通す仕組みとなっています。また外側から雨水がしみ込まないように防水性を持っています。そして保温性に優れ、さらに中空粒子という小さな空気の粒を多く注入していますので軽い。これだけの様々な特徴を持っていることから、「ドリーム」の名称を冠しています。さらに熱伝導率は木材の熱伝導率0.12W/m・kよりも少なく、0.08W/m・kとなっています。
 また結露は屋外と屋内に温度差があると発生します。外側の壁にこのドリームコートを塗ると、塗料に含まれている空気成分が夏の暑さや冬の寒さを遮断しますので、夏は涼しく冬は暖かいということになります。このため光熱費も減少し結露を防ぐことができるのです。また、ドリームコートはお好みの模様に仕上げることができますので、汎用性もあり、非常に使いやすい断熱材と言えると思います

「ポリプロピレン系住宅用断熱材」
 ダウ化工(株)技術開発本部鹿沼研究所 技術員 畠中 純一郎氏
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次世代に対応する素材とは
 断熱材には当然、断熱性能が必要です。最近では次世代省エネ基準という言葉が良く使われています。住宅建設時、住宅金融公庫から融資を受ける場合には省エネルギー住宅の割増融資基準として「次世代型」といった場合には、この次世代省エネルギー基準を元にして基準ができています。あるいは住宅性能表示の中の温熱環境の部分で言えば、等級4のものが次世代省エネルギー基準と同等のものです。
 こういったものを有した断熱材で家を包んだ場合、その断熱材で温熱的に家の内外を隔てるのですが、家の内側の問題としてはシックハウスがあります。それから床下部分は、基礎断熱でなく通常の床断熱をした場合は、床下換気口を設けた場合は「家の中」では無いのですが、かと言って完全に外側かと言うと、また難しい問題があります。現在の所、床断熱をする場合は、耐久性の点から防蟻剤や防腐剤を土台や柱部分に塗って処理する必要があります。
 一方外側は、自分達だけでなく大きな視野でグローバルに考えねばなりません。グリーン購入法で、平成14年度から断熱材が特定調達品目に入りました。この断熱材に求められる要求性能項目は、「オゾン層を破壊する物質を含まない」「リサイクルできる製品」「地球温暖化への影響が少ない」というものです。つまり、この条件を満たす断熱材が今後求められてくるのです。そして、この条件を満たすのがポリプロピレンなのです。
地球に優しいポリプロピレン
 ポリプロピレンは、地球や人体に優しい発泡体です。まず一切のフロンを使用せず発泡した素材です。それから燃焼有毒ガスが少なく、ダイオキシンが発生しません。そして、シックハウスの要因であるVOCやホルムアルデヒドが発生しません。そしてリサイクルが簡単です。
 ポリプロピレンは熱可塑性樹脂なので、熱を加えると溶けるためリサイクルが簡単にできます。ポリプロピレンは断熱材としては新しい素材ですが、他の分野ではプラスチック系素材の中ではかなり多く使われていますので、リサイクルも非常に有効なのです。
 また機能性をみると、高い曲げ弾性を持っています。断面を見ると、長いストロー状のものが幾つも段ボールのようにハニカム状にくっついています。このため、長い繊維の方向には強く、側面は柔らかいという性質があります。つまり加重方向によって弾性が違うということです。
 さらに120℃の温度に耐える高耐熱性を有しています。このため床暖房の周辺にも安心して使用できます。また油や有機溶剤、化学薬品に強く、トルエンや有機リン系の薬品にも侵されません。ただ、まだ新しい素材なのでJISの規格がありません。そこで一般的なポリエスチレンフォームの規格で試験をすると、透湿係数が高く湿気を通しにくく、過熱変型温度も高く、伸び縮みも少ないという結果が出ています。
 そこで、当社ではこの素材を使った床材「プロペル」を作っています。作り方は「スクランド押し出し発泡成形」と言われるもので、小さな穴から発泡したものを押し出すと、ポリプロピレン自体が互いに熱融着するという性質を利用しています。そして、この穴を工夫することで異形成形が可能になります。また簡単に割く事もできますので、施行現場でも利用価値が高いのです。
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