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2025年6月2日【会員NOW】TOPインタビュー「ダイカストをはじめ、さまざまな素材や 製法で産業のニーズにこたえる」 ナカザワ・田村雅彦社長
60周年を契機に社名を変更 2024年12月加入の新入会員、ナカザワ株式会社をご紹介します。ダイカスト鋳造による産業部品や金物を製造販売する同社は、生産力や人材力を駆使したトータルサービスで競争力を高めてきました。ショールームを見ていると、産業やインフラを支える産業部品から、身近な生活を支える手すりブラケットやハンドル、DIY製品まで、私たちの暮らしに不可欠なものが目立たぬ所で活躍していることに気付かされます。
田村雅彦社長に、同社の強みや今後の展望についてうかがいました。ダイカスト鋳造技術で産業のニーズにこたえる
高温で溶かした亜鉛やアルミニウムを高圧で金型に流し込んで成形する技術を、ダイカスト鋳造といいます。「中澤鋳造販売株式会社」として設立以来、この技術を筆頭に多様な素材・製法で産業界や社会のニーズにこたえてきた同社は、2026年8月に60周年を迎えます。60年の節目を機に、2025年4月、「ナカザワ株式会社」に社名変更しました。
事業はOEM製品とオリジナル製品の二本柱。主に産業機器や精密機器の部品などをOEMで、建築金物やDIY製品などを自社オリジナルで手掛けています。設立当初から次第に生産力を高め、1980年代以降は積極的に生産や物流の拠点を国内外に展開してきました。
1990年に入社し、2017年に代表取締役に就任した田村社長は、35年間にわたって多方面で尽力してきた、事業成長の立役者です。インタビューに応じるナカザワ株式会社・田村雅彦社長
1990年9月 中澤鋳造販売株式会社入社
その後購買、品質管理、開発、営業などほぼ全ての業務に従事
2012年4月 常務取締役に就任
2017年4月 代表取締役社長に就任
大阪府出身、1965年6月30日生まれ、60歳。
60年の歴史を支えてきた強み
同社が60年の長きにわたり選ばれ続けてきたのは、それだけの年月をかけて培った多くの強みがあるからです。
まず注目すべきは、東南アジアや中国に工場を設立し、自社生産していること。「海外で供給する製品は資材も現地調達して生産したほうがよいですし、外注生産では生産管理や品質管理が難しくなりますから」と田村社長は言います。
中国で蘇州工場、東莞(トンガン)工場を設立し、マレーシアでも現在3工場が稼働しています。
「マレーシアは『小物』と呼ばれる弱電部品や精密部品。蘇州では小物よりもやや大きな金物を生産し、表面の塗装処理(塗装仕上げ)を得意としています。東莞では光沢のあるメッキを施した装飾金物をメインで生産しています」と、各工場の特徴を説明するのは営業部の村田慎一課長です。
「外注管理は、特に海外の場合何かと問題が多く、以前はそこに大変な労力をかけていました。しかし工場を建てると外注管理が不要になる上、内製化による製造技術やノウハウが蓄積されていき、よりお客さまの要望にこたえ られるようになりました」(村田課長)。
またQCセンターや物流センターの設立によって、メーカーでありながら、生産から流通までワンストップでのサービス提供を自社のみで実現しています。これによって低コスト・高品質・スピードを両立させることが可能となりまし た。これも大きな強みの一つ。本社 2 階のショールームには主力製品が並ぶ アルミ製ブラケットなどオリジナル製品も充実 大切にしてきた「お客さまとの約束」
入社以来、購買、品質管理、開発、営業などほぼ全ての業務をこなしてきたという田村社長。大切にしているのは「お客さまとの約束を守る」ことです。
「これは得意先だけではなく、仕入先、従業員といったあらゆるステークホルダーを包含しています。約束した材料、設備を使い、約束した工程で、約束通りの納期と価格で提供する――これが一番大事です。60年続いてきた理由の一つでもあると思います」。
当初は会社の売り上げが現在の約4分の1程度、会社組織も未成熟だったそうです。今のような姿に成長することができたのは、もちろん前述のような「強み」を培ってきたからですが、田村社長は「それを可能にしたのは“人”です」と強調します。
「あらゆる業務に携わる中で、どこにどんな人材が必要か分かるようになってきました。当時はまだ少なかった従業員を増強するにあたり、キャラクターや能力に応じた役割分担や育成を行い、組織づくりに力を入れたのです。彼らがいたから今がある。だから私は、会社を変えたのは“人”だと考えています」。発信力を強め、オリジナル製品を伸ばす
今後、オリジナル製品の比率を上げていきたいと田村社長は語ります。
「今は売り上げの2~3割程度ですが、将来的には5割までもっていきたい。OEM製品は価格などで他社との競争が激しいのですが、オリジナル製品なら有利に勝負できますし、一度採用されると長く売れるというメリットもあります」。
そのために重要なのは、潜在的なお客さまやユーザーにアプローチできるような発信力だと言います。同社では今後さらに、ウェブサイトやSNS、展示会への出展を通して情報発信を強めていく考えです。当協会への入会も発信強化の一環。もちろん7月10日・11日開催の「建築・建材展大阪2025」にも、新製品を携えてお目見えしますので、大いにご期待ください。日本 DIY 商品コンテスト 2023 新商品部門で経済産業大臣賞(最優秀賞)を受賞した「ピンベース&カバー」、一般人気投票でも 3 位を獲得 バリエーションを広げるオリジナル商品(木材) ナカザワ株式会社所在地:大阪市東成区東小橋1-16-25(大阪本社) 代表者:代表取締役社長 田村 雅彦 拠 点:東京営業所、八尾QCセンター、八尾物流センター、中国蘇州工場、中国東莞工場、マレーシア工場 設 立:1967年8月 資本金:1,200万円 事業種目:建築金物、放熱器機、産業機器、工具、木工ジョイントなどの製造販売 ホームページ:https://nakazawa.ne.jp/