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2026年9月28日建築・建材展大阪2026セミナー
「ZEBとカーボンニュートラルの実現に向けて~建築・建材展大阪の活用方法~」
(協力:公益社団法人 大阪府建築士会)岩岸 克浩 氏
(公益社団法人 大阪府建築士会 前理事・研修委員会前委員長)
全ての住宅・建築物で省エネ基準適合が義務化
わが国の省エネの施策は、2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減に向けて、今急速に動いているところであり、2025年からはZEBの本格化が始まっています。以前は省エネ基準が適合義務ではありませんでしたが、建築基準法・建築物省エネ法の改正により、確認申請時に適合義務化されています。また、ストックで省エネ改修を行う方針も進んでいます。プラスで木材の利用促進のための建築基準の合理化も進められています。省エネ基準の適合義務化以降、2030年までに省エネ基準をZEH・ZEB基準に引き上げることが目標です。そして誘導基準や大手事業者による市場の牽引、ZEH・ZEBへの支援拡充などが行われてきました。 やはり一番大きな目玉は、全ての住宅・建築物で省エネ基準適合が義務化されたことです。それにより届出制度が廃止され、今後、確実に省エネ基準を満たさねばならなくなりました。当然増改築を行う場合にも対象になりますが、改正前と違って増改築を行った部分のみ省エネ基準に適合すればよいことになりました。
省エネ基準と適合方法(省エネ適判)
省エネ基準について、住宅の場合は外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準の両方、非住宅では一次エネルギー消費量基準に適合する必要があります。非住宅の申請時に外皮基準の証明は不要ですが、断熱の施工精度が低いと、計算上はクリアしていても実際は適合していないものと同様となるので結局はマストになります。住宅の外皮性能に関しては「UA値」と「ηAC値」があり、以前の基準よりも計算が簡易化されています。一次エネルギー消費性能は、住宅・非住宅共に「BEI値」で表され、1.0以下になることが必要です。つまり、消費したエネルギー以上の効率が求められているということです。 基準への適合方法は、省エネ適判(エネルギー消費性能適合判定)を受けることですが、住宅の場合、実際に計算しなくても、仕様基準や設計住宅性能評価基準、長期優良住宅建築等計画の認定または長期使用構造等の確認などを提出することで代替できるので、煩雑な手続きが省略されてハードルは低くなっています。またフラット35やBELSなどの認定取得でも同様に、関係機関内で省エネ適判に適合していることが証明できます。
法改正で行われた緩和や特例創設による合理化
前述の法改正に関して補足説明します。どんな省エネ改修をすればZEBが実現できるのか、どこに注意すべきか、緩和を受けたのはどこか、という部分です。 まず、建築物再生可能エネルギー利用促進区域内では、再エネ設備について建築士が施主に対してしっかり説明する義務が生じました。建築士のみならず、施工者の方々も覚えておいてください。 再エネ促進区域における形態規制では、特例許可が創設されました。例えば区域内で、太陽光パネルの設置で建築面積がオーバーしたり高さ制限を超えたりしても、促進区域の趣旨に鑑みて、周りに影響を及ぼさないことが確認されれば、規制緩和を受けることができるというものです。 既存住宅では、屋根の断熱改修や省エネの設備の設置で高さ制限を超えても、構造上やむを得ない場合は緩和措置が講じられます(図1)。建蔽率や容積に関しても同様で、例えば大きく張り出した庇でも、日射遮蔽により省エネ効果を高めるためなら、庇の先端から1m以内は建築面積に算入されません。また機械室や高効率給湯器を設置した場合の建築面積や容積率も緩和されています(図2)。 費用面の支援として、住宅金融支援機構のグリーンリフォームローンという融資制度があり、最大500万円まで担保不要で利用できるので、このような補助金を上手に利用しながら改修するのがよいでしょう。
図1 高さ制限に関する特例許可について
図2 形態規制の特例許可における建築基準法と建築物省エネ法の違い カーボンニュートラルのためにはZEB化が必要
2050年にカーボンニュートラルを実現することが宣言され、これをもとに今ZEB化が進められています。温室効果ガスの削減目標値は、「業務その他」部門で51%減となっており、2013年比の約半分です。国は、このために建築物の消費エネルギーを小さくするZEB化が必要だと考えているわけです。 ZEBには、エネルギー削減率の高い順から「ZEB(100%以上減)」「Nearly ZEB(75%以上減)」「ZEB Ready(50%以上減)」「ZEB Oriented(30%以上または40%減)」にランク分けされています。 今一番問題になっているのが、既存建築物の6割以上が省エネ基準に適合していないことです。新築では住宅・非住宅の両方で、省エネ基準およびZEH・ZEB基準共に高い適合率となっています。既存建築物は、改修によって断熱性能を向上させたり、太陽光パネルを設置して創エネを行うという形でZEB化することができます(図3)。
図3 どの程度の省エネ性能が必要か ZEH・ZEB化に役立つ参考資料とツール紹介
各種機関がZEH・ZEB化への方法についてパンフレットやWebツールで説明しているので、簡単に紹介します。 環境省では、改修によるZEB化を勧めるパンフや、3省連携によるZEH推進の取り組みに関するパンフを発行して、緩和措置や融資についても詳細に説明しています。どのようにZEB化していくべきかを解説しているのが、(財)環境共生イニチアチブ発行の「ZEB設計ガイドライン」。大阪府では、住宅断熱性能の見える化ツール「エコミエル」を作成しており、建物概要を入力すると、省エネ期待値や、どこまで性能を高められるかをシミュレーションしてくれるもので、誰でもダウンロードして入手可能です。実際のZEB化10事例を収めた「大阪府におけるZEBを実現した建築物の事例集」も府が発行しているので、参考にしてください。
ZEB化に有用な断熱材を扱う出展企業を紹介
最後に、本展示会の出展企業・団体で、ZEB化に資する建材を製造されているメーカーなどを紹介します。断熱材を中心にピックアップしているので、ぜひブースに足を運んで実際に目にしていただければと思います。 (一社)板硝子協会の「エコガラス」は、会員メーカーが製造するLow-E複層ガラスの共通呼称です。同協会の発行する報告書では「エコガラス」の有用性が詳しく説明され、熱貫流率の抑制がもたらす断熱効果がよく理解できるようになっています。 アクア化成(株)では、断熱抗菌抗カビ塗料を壁紙化した多機能建材を製造。INNOBISは、断熱性・透湿性・防水性を有することで漏水や結露を抑え耐用年数を伸ばす高性能防水膜を製造。 金山化成(株)では、シロアリ対策ができる防蟻断熱材を開発しています。関西パテ化工(株)では断熱性能を持った防水塗料。 (株)日本アクアでは、高気密・高断熱でGX志向の住宅に対しても使える断熱材を展示されています。(株)スズイチでは、高断熱ウレタンフォームに加え、制振ダンパーも展示。アルフィン(株)は、日射を遮蔽して省エネ性能を高めてくれる庇を製造するメーカーです。 アルミのトップメーカー、安田(株)のアルミハニカムパネルは、ハニカム構造を持つ強くて軽いパネルで、大きな庇を出すことができます。 今後も皆さまに、省エネに資する有用な情報を発信し続けたいと思います。

