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  • 2026年4月1日
    【会員NOW】TOPインタビュー
    「公園遊具から造園・土木工事まで…砂漠に木まで植える総合力で成長」 株式会社タイキ 中野 格社長
    造園建設を総合的に手がけるタイキの本社ビル
    造園建設を総合的に手がけるタイキの本社ビル
     今年9月に設立66周年を迎える株式会社タイキは、公園遊具製造に始まり、造園・土木工事、運動施設の設計・施工、砂漠緑化、樹木生産販売と、関西圏を中心に特色ある事業を展開。大阪・関西万博ではあのイタリアパビリオンの屋上庭園も手がけました。
     インタビューに応じてくださったのは、2023年に4代目社長に就任した中野格(ただし)氏。中野社長は、造園建設にまつわる業務なら「何でもできる」総合力が強みだと言います。
    「けんざい」編集部

    職歴を生かし、学校とのパイプを活用して販路を拓く

     1960年に公園遊具の製造販売を行う「株式会社大阪体機製作所」を設立したのは、中野社長の祖父・中野善(ぜん)兵衛(べえ)氏です。体育教師だった善兵衛氏は、大阪府の教育長を長年務め、政治家を目指したこともあるユニークな経歴を持つ創業者。府下の学校との強力なパイプを生かし、跳び箱やマット、鉄棒といった“体機=体育の機械”を販売し始めたのでした。
     「遊具を納めるうちに、『ついでにグラウンドもお願いします』『テニスコートも』『校庭の植木も』……と次々に派生し、造園工事に土木工事、公園樹や街路樹といった各種樹木の生産など、事業内容が次第に多角化しました。こうして1973年には今の株式会社タイキという社名に変更しました。学校関係者はみんな祖父を知っているので、当時は名前で商売ができていたんですよ」と中野社長は創業者の時代を振り返ります。

                            株式会社タイキ
                            代表取締役社長  中野 格氏
                             1995年 株式会社タイキ入社
                             1998年1月 資材課課長就任
                             1999年7月 取締役就任
                             2005年9月 代表取締役副社長就任
                             2023年4月 代表取締役社長就任
                             大阪府出身、1968年3月15日生まれ、58歳

    世界で一番暑い砂漠で取り組んだ植林工事

     1979年、アラブ首長国連邦(UAE)の砂漠植林工事に参画しました。UAE政府と砂漠緑化契約を締結、6年ほどかけて1,000ha分に約20万本の木を植え、活着させることに成功。夏の最高気温が55℃に及ぶ、世界で最も暑い砂漠と言われる地での植林は並みの苦労ではありませんでした。同事業は2代目社長となる啓史(ひろし)氏(現社長の父)が当時専務として現地で陣頭指揮をとっていました。
     「植林には水が必要なので灌水設備などをつくるのですが、日光や紫外線が強すぎて日本から持ち込んだ資材が全て割れてしまいました。砂の温度は70℃を超えるわ、ミクロサイズの砂が機械に詰まるわで、最初の年は想定外のトラブルに悩まされました」。
     この実績が買われ、2004年にはODA案件として中国で砂漠緑化を行いました。山西省で黄河流域を保全するための造成工事で、1,500haの不毛な高原に約130万本の木を植え、林道も新設しました。

    メーカーでありながら、基礎や土木工事も一手に手掛ける強み

     3代目社長に就任したのは、2代目社長の時代に番頭を務めた矢野幸吉氏(現取締役会長)。そして2023年からは、中野格社長が4代目として会社を牽引することになりました。66年間選ばれ続けた理由は? との問いに「特にないと思います」としながらも、「前半の30年は時代のおかげでしょう。談合せず価格競争で勝ち抜けてきました。次の30年は、遊具から造園から土木から、何でもできる総合力が強みになりました。そのような業者はなかなかなく、当社ぐらいなので」と自社の優位性を分析します。

    多くの人が目にしたイタリアパビリオンの屋上庭園

     樹木を生育する自社農場を所有していることも特徴の一つです。樹木には流行り廃りがあり、先々の需要を見据えて数年スパンで木々を育てるのはある意味でギャンブルです。また、設計者の希望するレアな樹木を調達するのも難しい部分。大阪・関西万博で同社はイタリアパビリオンの屋上庭園を手がけたのですが、そのときの裏話も聞くことができました。
     「イタリアの設計会社との通訳を介しながらのオンライン会議だけでも一苦労なのに、日本に少ないゲッケイジュを5,000本用意しろと言われたときは困り果てました。悩んだ末の苦肉の策として、ウバメガシをメインに樹種を混ぜて窮地を乗り切りました。工期もギリギリで綱渡りでした」。万博で一番人気だったイタリアパビリオンの屋上庭園の素晴らしさは、実際に目にした多くの人々が認めるところでしょう。

    若手が成長・活躍できるような会社づくりに尽力

     今、一番の課題は人材難だと中野社長は言います。
     「私は、健全な経営のためには社員の平均年齢が40歳未満であることが大事だと考えているのですが、現状は43~44歳。若い方々も入ってきてはくれるのですが、定着させるのが難しい。人材難を打開するためにDX化が叫ばれているものの、大手ゼネコンならそれで効率化できて楽になりましょうが、零細・中小規模では大して手間が変わらないのが実情です。だから当社では、厚生労働省認定の『えるぼし』や『くるみん』『ユースエール』などの取得に取り組んでいます。やはり若手に残ってもらえるようサポートに注力して、働きやすい労働環境を提供していくことが重要だと考えています」。
     安定した基盤を次世代に残すのが自分の使命だと語る中野社長。若手が輝ける働き方改革に期待したいものです。

    株式会社タイキ
    所在地:大阪市天王寺区寺田町1丁目1番2号(本社) 代表者:代表取締役 中野 格(ただし) 支店・営業所:和歌山、羽曳野、神戸、堺、東大阪、奈良 工場・農場:大阪府南河内郡太子町 設 立:1960年9月 資本金:7,000万円 事業内容:公園遊具製造販売、造園・土木工事施工請負、樹木の生産販売、石材製品の販売、海外砂漠の緑化事業、マンション経営 ホームページ:https://www.osa-taiki.co.jp/
TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -TEKTON - 日本建築材料協会デザイン委員 -