2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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けんざい250号掲載




REDHORSE OSAKA WHEELを下から見上げる

もりのみやキューズモールBASE
 
日本生命野球部のホームグラウンド、学生野球や社会人野球のメッカ、元近鉄バファローズの本拠地として愛された日生球場は、1997(平成9)年に惜しまれながらその姿を消しました。そして18年を経た今年春、「もりのみやキューズモールBASE」として生まれ変わりました。球場の記憶を各所にとどめ、市民の「心と体の健康をサポートする」新しいスポットです。

「けんざい」編集部



「心と体の健康」コンセプトに新しいエリア価値創造
 大阪城への玄関口となるJRおよび地下鉄森ノ宮駅のすぐ近くで、今年の春に誕生した新しい賑いスポットが人気を呼んでいます。東急不動産株式会社が展開するモール型ショッピングセンター「キューズモール」の4番目の施設です。ここは1950(昭和25)年〜1997(平成9)年まで広く地元市民や野球ファンに親しまれていた日生球場の跡地でした。
 所有者である日本生命保険相互会社が跡地活用を検討していたところ、この跡地にぴったりのコンセプトを東急不動産が提案したことが始まりでした。施設についての詳しいお話を、同社の関西事業部事業企画グループ・グループリーダー課長の大柴信吾さんと同係長の白田文昭さんにお聞きしました。
 各地のキューズモールはそれぞれにエリアならではの特徴を持っていますが、「もりのみやキューズモールBASE」はまた一味違うタイプの施設です。「森ノ宮界隈は旧球場、大阪城公園など昔からスポーツや健康づくりで親しまれ、一方で歴史文化に恵まれた文教地区でもあります。よって、心と体の健康をサポートできるような施設がよいのではと考えました」(白田さん)。
 「さらに、地域住民に『跡地につくるならどんな施設がよいか』というインタビューを実施、『地域愛』『オンリーワン』『人生・いのち』というキーワードを得ました。そこで健康を軸に、人々が集い、学べる、森ノ宮ならではの場所にしようと、『豊かに生きる、ココロ・カラダ特区』というコンセプトができ上がったわけです」(大柴さん)。



球場外観をイメージした正面入口

利用者がおすすめ本を持ち寄る「まちライブラリー

ウォークとランにレーン分けされたエアトラック






目玉は複数の建物をつなぐ大きな「ヘルスエイド エアトラック」
 こうして完成した施設には、コンセプトを具現化する楽しい仕掛けがたくさんあります。まず屋上に設置された1周約300mの「ヘルスエイド エアトラック(以下、「エアトラック」という)」。最も目を引く、同施設のシンボルともいえる部分です。誰でも無料で利用でき、快適・安全にランニングやウォーキングを楽しめます。「エア」というだけあって開放感があり、大阪城への眺望も素晴らしく、「エアトラックのお陰で走るのが日課になった」という利用者も。
 エアトラックは、同社と設計・施工者である株式会社竹中工務店が共同で開発し、特許出願しました。構造的には、複数の建物の屋上をエアトラックという構造体がつないでおり、エアトラックと各建物との接合部にブレース架構や免震装置を設けて振動をコントロールしています。「エアトラックが単一建物の大きさに制限を受けず、建物の改修中も普段と変わらず利用できるメリットもあります」とお二人は説明します。
 本格的で、なおかつ安全性の高いものにするため、エアトラックの立案段階から北京オリンピック銅メダリストの朝原宣治さんが監修を務めました。モックアップをつくり、人がどんな速度で走るとどれくらい振動するのか、カーブや手すりの高さはどの程度が最適か、などを一つひとつ検証し、これまでの商業施設にはない全く新しいユニークアイテムが実現したといいます。
 正面入口から見た外観は、エアトラックのカーブと列柱、風にはためくフラッグ、グリーンウォールなどが相まってまるで球場のようです。もちろん球場跡であるというのがそのゆえん。名前に「BASE」(ベースボールのベース)がついていたり、イベント会場などに利用される「BASEパーク」という広場がグラウンドを模していたりと、かつて愛された球場へのオマージュが随所に散りばめられています。
 エアトラック以外にも、スポーツジムやフットサルコート、ボルダリングウォールが備えられ、体づくりをサポートしています。一般社団法人アスリートネットワークと共同でさまざまなスポーツ企画を考え、サービスとして提供しているのも特徴的です。

市民参加型のコミュニティスペースで交流促進
 コミュニティスペースとしての活用にも力を入れています。カフェやキッズスペース、ラジオ放送(FM COCOLO)のサテライトブースなどを備えた「まちライブラリー」は、利用者(会員)がおすすめの本を、感想を書いたカードを付けて持ち寄り、みんなで蔵書を増やしていくユニークな図書館。借りた人は、その感想をまたカードに書いて返却します。本を通して豊かな交流を育むのが目的です。
 「会員さんが中心となって読書会やワークショップも精力的に開催されており、この半年でコミュニティスペースとしてかなり育ってきたのではないでしょうか。会員も半年を待たずに1,000人を突破しました。これは予想外でした。ワークショップを見ていると、“何かを発信したい”人達がかなりたくさんいることが分かります。そういう方々が集い、いろんなことを発信していってほしいですね」と大柴さん。
 お二人共に、「開業半年を経て、かなり認知度も上がってきました。これまではハード面で注目されがちでしたが、『まちライブラリー』のようなソフト面ももっと周知できればと思います」と期待を語りました。

 



植栽豊かなモール内

利用者がおすすめ本を持ち寄る「まちライブラリー」

ご案内くださった大柴さん(左)と白田さん(右)


 

 



もりのみやキューズモールBASE/

所在地:大阪市中央区森ノ宮中央2-1-70
TEL:06-6941-1090
URL: http://qs-mall.jp/morinomiya/

 


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