2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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JR高松駅

けんざい215号掲載


広場のようなコンコース内部
 「瀬戸の都、四国最北端の駅」JR高松駅は、都市再生緊急整備地域として整備が行われた「サンポート高松」のただ中にあります。空の青が透き通って見える、ガラス張りのドーム。透明感あふれるフォルムは、遠くからもよく目立ち、高松の新しい顔にふさわしいデザインです。秋の陽ざしが心地よく降り注ぐ駅の中で、建設に携わったJR四国高松機械機関区の黒長勝区長にお話をうかがいました。
東洋工業株式会社 青木いづみ


2階デッキで、黒長区長(左)と

 

ビジネス街にたたずむ御殿風園舎

 大阪市中心部のビジネス街に、周囲とはずいぶん趣を異にする建物があります。現存最古の木造園舎、愛珠幼稚園です。平成11(1999)年、大阪市有形文化財第一号に指定されました。さらに今年の6月には「最古でありながら現役」が称えられ、園舎と昭和6(1931)年設置の廻旋滑台が国の重要文化財に指定されています。 淀屋橋駅近くに突如姿をあらわす、大きな入母屋を持つ御殿風の建築にまず「おやっ」と思い、これが現役の幼稚園舎と知ってもっと驚きます。ものすごい貫禄、周りの建物と一線を画した風格。


美術館を思わせる、ガラス張りの駅
 モザイクの石貼りが鮮やかな駅前広場を中心に、地上30階の超高層ビル・高松シンボルタワーや全日空ホテルクレメント、高松港旅客ターミナルビルなどが連なる「サンポート高松」。JR高松駅は、そのモダンな風景に溶け込むようにたたずんでいました。
 建物に近づくと、天井まで続くガラスの外壁に引き付けられます。1枚のガラスの大きさは、3m四方以上。不思議な透明感は、駅というより美術館のようです。
 入り口を抜けると、幅24m、高さ18mの吹抜が、心地よい開放感で身体を包んでくれます。降り注ぐ陽ざしの下には、世界的彫刻家・流正之氏の作品「抱いてんまい」が、やさしく人々を見つめています。
 「ここは、いわば駅の中の広場。改札口を抜けた後、ドームの高さやガラス越しの風景に驚かれる観光客の方も多いですね」と、ご案内いただいた黒長区長。こういう空間のある駅は、国内でも珍しいそうです。

4代100年の歴史を秘めた、四国の玄関口
 JR高松駅は、100年を超える歴史を持っています。
 初代高松駅は、1897年(明治10)に建設。当時は讃岐鉄道の駅で、位置も今より南西寄りでした。
 2代目の誕生は1910年(明治43)。宇高航路(岡山県宇野〜香川県高松)の開設に合わせ、今よりもっと港寄りに、四国の玄関口として建設されたとか。古い写真を見せていただきましたが、洋館風の重厚な外観に驚きました。「当時の高松の人々は、大阪駅よりも立派だと胸を張ったそうです」と黒長区長。残念ながら1960年(昭和35)に焼失しましたが、港を背景にした洋風の駅舎は、さぞ印象的だったに違いありません。
 戦後1959年(昭和34)に立った3代目は、近代的なビル駅。1987年(昭和62)のJR民営化以後は、JR四国の本社も兼ねていました。
 「関係者には便利でしたが、コンコースが狭いなど、駅としての印象はいま一つ。そこで、“駅舎らしい駅舎”をテーマとして、4代目の建設が計画されたわけです」。

列車の発着が見渡せる、駅らしい駅
 黒長区長の案内で、駅の中を見せていただきながら、お話をうかがいました。
 2001年(平成13)に完成した現駅舎の着工は、1999年(平成11)。設計作業は、その3年前から始まっていました。内外の有名な駅も参考にしながら、駅のイメージを固めていったのですが、そこでまず決まったのが、ガラスの吹抜だったそうです。
 「この駅が位置する「サンポート高松」は、高松市のいわば正面玄関。開放感のある風景をさえぎらないよう、向こう側が見える駅を、と考えました」。
 もう一つ黒長区長たちが考えたのは、発着する列車が見渡せる駅にすること。
 「ヨーロッパ映画に出てくる始発駅のイメージですね。もともと駅は、出会いと旅立ちの場所。特に、高松駅は四国の起点駅ですから、それにふさわしい風景をご用意しようと思ったわけです」。
 大ガラス越しに列車が見渡せるように、コンコースの2階席は自由に歩けるデッキになっています。私も上ってみたのですが、いろいろな列車が眼下で発着する様子は、旅人でなくても心がおどるものでした。
 「デッキの床を木で仕上げたり、誰もが自由に座れるベンチを置いたり、細かい部分まで丁寧に仕上げました。観光客の方や子供たちが、列車の発着風景を見つめていたりすると、この設計でよかったな、と思いますね」と黒坂区長もにこやかです。
 さらに、この駅の魅力となっているのは、バリアフリーが徹底していることです。
 「駅前広場からコンコース、改札口、さらに9つあるプラットホームまで、段差がありません。高齢の方や車イスの方もスムーズに乗降していただけますよ」。
 乗り換えのたびに階段を上り降りしなくていいのは、私たちにとっても大助かり。遠来の観光客の方にも好評だそうです。ちなみに同駅は、2002年(平成14)の第1回交通バリアフリー優秀大賞(交通エコロジーモビリティ財団主催)に選ばれています。


高さ18mある、吹抜のコンコース

バリアフリー設計で、改札口の向こうも段差はなし

流正之氏の作品「抱いてんまい」

 

高松市のにぎわいの中心として
 そんな駅としての役割に加え、高松市のにぎわいにとっても、高松駅は大きな役割を果たしています。
 「高松駅の一日あたり乗降客数は、通勤通学客、観光客など約28,000人。しかし、駅で待ち合わせをしたり、駅ビル内のお店を利用される人は、それを大きく上回るでしょう。おかげさまで、駅ビル内の飲食店やショップもにぎわっています」。
 もちろん、高松駅自身も、好感度アップに力を入れています。円形の駅前広場にフィットするように、駅ビルの外観は曲線を採用。コンコース内部の照明は、ライトアップ効果を考えて、専門の照明デザイナーに依頼したそうです。また、毎年クリスマスの季節には、ガラス壁の正面に巨大なリースを飾り付け、駅前広場のクリスマスツリーとともに、雰囲気を盛り上げます。
「昔、街のにぎわいの中心には、必ず駅がありました。その独特の雰囲気や旅情は、時代が大きく変化しても変わりません。これからの高松の発展に、そんな駅のパワーがお役に立てばうれしいですね」と黒長区長。
 自動車を使うことの多い私も、高松駅の美しさには改めて魅了されました。今年のクリスマス、友人を誘って、ライトアップされた駅を眺めに行きましょうか。


駅の向こうには高松シンボルタワーと大型ホテルが


重厚な外観の2代目高松駅

JR高松駅(JR四国)

所在地:〒760-0011 香川県高松市浜ノ町
TEL:087-825-1701(案内所)
URL:http://www.jr-eki.com/kakueki/takamatsu/index.html
竣工:2001年(平成13)5月
設計:日本設計

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