2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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建材情報交流会ニュース
  第5回「建材情報交流会」 ”循環型社会−建材リサイクル PART-U”

*機関誌「けんざい」掲載分です。ホームページ用に再編集しておりませんのでご了承ください
  
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「板ガラスのリサイクル」
 板硝子協会 調査役 宮本 武司氏
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ガラスリサイクルの遅れ
 ガラス屑は大きく2種類にわけられます。まず、生産行程で発生するガラス屑。そして一次流通段階(卸、メーカーのカッティングセンター、ガラスを切断して流通に流す関係会社など)で発生する端材(カレット)があり、これはほぼ全量回収してガラスの釜へ戻しています。カレットの原料投入量に含める割合が約40%となっています。一方建築解体物から排出される廃ガラスは混合廃棄物として、ほぼ埋め立て処分されており、リサイクルが遅れています。
 板ガラスの生産料はここ2、3年は年間約130万tで推移しています。その大半が建築と自動車に利用されています。どの程度廃材が出ているのかという統計値はありませんが、自動車は廃車が年間約400万台で一台当たりのガラスの平均重量を約32キロとして、400万台×32kgで約13万tと大雑把に試算しました。
 また建築廃材に関しても統計がありません。建物の規模や開口率、延べ床面積等をモデル設定して試算すると、年間約7万t以上となり、自動車とあわせて20万t以上と把握しています。この7万tというのは、昭和40年代に建てられた小振りなビルを想定しています。しかし今後は、大型のカーテンウォールのビルなどが解体されますので、この数字も変わっていきます。
分別回収の重要性
 昨年、完全施行された「建設リサイクル法」で板ガラスは今後の検討課題とされ、現状では解体業社が解体をする時点で、混合廃棄物として廃棄されています。さらに、解体専門業社とカレット業社の関係が、今のところ殆どありません。ガラスのリサイクルには、このゼネコン、解体業社、カレット業社を繋ぐネットワークの構築が不可欠です。
 再資源化の大前提は分別解体と分別回収です。板ガラスはガラス瓶と混同される場合が多々ありますが、使用するカレットのスペックがあり、ガラス瓶には板ガラスを使えても、板ガラスには他のガラス製品は一切使用できません。スペックの高い順は、板ガラス、瓶、ファイバー、ブロック、煉瓦、路盤材です。自動車メーカーや建築業界でお客さまが要求する品質レベルのガラス製品を納入するには、スペックの荒いカレットは使用できません。
 通常板ガラスはソーダライムガラスといった種別のガラスで、それ以外のもの、例えばクリスタルガラス、耐熱ガラス、パイレックス、などとは全く組成の違うガラスです。こういった建築廃材が混って釜に入ると、板ガラスを溶かす温度では溶けなかったり、色が滲み出るといったトラブルが起きます。これを避けるためにも、分別を訴えていかなければならないのです。板硝子協会では板ガラスの釜に戻せるカレットのスペック基準を2年前に作成しています。
 板硝子協会でこれまで一件だけ、建築解体物の廃ガラスを利用する実験に協力させていただいたケースがあります。
 一昨年、都市基盤整理公団が昭和40年代に建てた東京の団地の立て替えをする際、実験的に約半年かけて計4棟、190戸を建築リサイクル法指定3品目以外のものまで徹底的に分別解体しました。この4棟の現場で出た解体物約5700tのうち、コンクリートと木屑と金属屑の3品目で98.7%を占める5600t、板ガラスは0.2%で約11tありました。我々はそこから出たガラス屑をカレットとして使用する実験を行いました。
 まずガラスの分別については、ガラス職人がパテを避けて真ん中だけを切り落とし、それをカレット業社に持ち込み、板ガラス向けのカレットにしました。最終的にメーカーの工場に持ち込みましたが全く問題なく、徹底的に分別すれば板ガラスは再資源化できるが、若干時間と費用に問題が残るというのが公団の結論でした。
業界を越えた検討を
 ドイツでは板ガラスのリサイクルが進んでいて、部分的には行われているといった情報もありますが、世界的にガラスは無害ということで埋め立てが主流です。ただ国内事情を見ると処分場もひっ迫しており、従来の板ガラスのカレット受入先であった瓶メーカーも、輸入物のワイン瓶の消化や、紙パックやペットボトルにおされ、ほぼ満腹といった状態です。
 ガラスファイバーはすでにカレット利用率が8割から9割です。最近、瓶のガラスのカレットを使っている窯業系建材もありますが、間口は狭く、価格的な問題もあります。ガラス全体のカレット受入先自体が細っているので、釜に戻すことは私共メーカーの責任、使命と考えています。
 瓶の場合は容器包装リサイクル法が既に施工され、各自治体が分別してカレット業者に持ち込み、リサイクルがビジネスとして成り立っています。しかし板ガラスはリサイクルのシステムが全くありません。解体業社とカレット業社とのネットワークも無く、分別の費用、分別の指示は誰が出すのかといった決まりもありません。誰が何をして、どの部分の費用負担をして、それに必要な技術開発は誰がするべきなのか、といった役割分担をこれから業界を超えて検討していく必要があると考えています。
 また品質面での検証も必要です。一般的にガラスの釜はカレットを約50%まで入れられる構造になっています。しかし今後、建築廃材や自動車のカレットを使うと、50%を超えるカレット率になる事も想定されます。高いカレット率で、お客さまに満足いただける板ガラスが出来るよう実証試験をしておく必要もあります。とにかく廃ガラスの新しい受入先は、良く言われる路盤材も含め、受け皿は小さいです。廃ガラスの使い道は、業界自身としてこれからも研究模索していく必要があります。

「タイルのリサイクル」
 ダントー(株) 生産企画室 課長 石川 正夫氏
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タイルリサイクルの原料
 粘土は花崗岩が風化して堆積層となり、粘土分と珪石、珪砂という風に堆積しています。その堆積層から採掘して粘土と珪砂を分離し、粘土分は窯業に、珪砂分は硝子の原料として使われています。粘土がガラス原料の不要(除外)物であると考えると、リサイクルであると言えます。
 淡路の工場で設備を入れる時に土を掘り返すと、昭和初期や大正時代のタイルのかけらが出てきました。それを見るとボディの白いタイルで、上質の粘土と良質の長石と良質の石類を使っていた事がわかります。今はそういった原料はとても使えないのが現状です。
 リサイクルの原料はタイル製造行程中の不良品、タイル屑、タイル工場の汚水処理で出てくる泥。これらは全てタイルの組成とほぼ同じなのでそのまま使えます。あと、他の産業の廃棄物です。窯業原料をとった後に出る非常に細かい珪砂(キラ)、鉱山で蝋石等鉱石を洗った後の泥、採石場で出る不要な土、瓦の廃材、水滓スラグ、鋳物砂、ダムや湖の底砂、火山灰、有名な所では九州のシラス台地にある白砂、これらも使っています。
 さらに、紙等を回収して製紙工場で溶かした時に出てくる灰(ペーパースラッジ灰)から添加されている無機物質を除去したもの、都市ゴミを焼却して更に高温にし、ガラス化した都市ゴミ溶融スラグ、同様に下水道汚泥を焼却した後の灰や溶融スラグ、あと上水道にて出てくる汚泥、色付きガラス瓶の屑、それから石炭を使う火力発電所の煙突から出る灰、石膏の屑、建物の外壁材の屑、カーバイトを作る時に出る消石灰のスラッジ、ロックウールの保温材料、等が使われています。
 リサイクルには様々な物が使われますが、結局タイルの主成分はSiO2であり酸化アルミニウムです。石や砂や泥と同じ物なので、そういったものであれば何でも使えます。ただ、何でも使えますが安定していないと困ります。原料の中身の組成がロット単位でばらつきの少ない物が求められます。INAX等では、多種の原料を多量に混合して成分を安定させ、再生原料としています。例え1種類の成分がばらついたとしても、全体としてのばらつきは小さくなるので、これは良い方法だと思います。
タイルリサイクル製品
 タイルのリサイクル製品は、大きく分けて焼結させるためにガラスや長石等を入れて焼いたものと、セメントや樹脂等で固めた焼かないものがあります。
 私が4年程前、テラプレートという商品を工場で作る事になった時の事です。これは、下水道汚泥溶融スラグを骨として、その周りに粘土とガラス屑をまぶして焼結したもので、大阪で有名な「岩おこし」のような商品でした。
 粘土とガラスをボールミルで粉砕し、脱水して粉にした後、下水道溶融スラグを混合し、型に入れて高圧成形し、乾かして薬をかけ、釜で焼くという手順でした。しかし、一番最初に粉砕できないということから始まり、最終的には硝子が入った事によって、我々が持っている常識が通用しないような事も起こりました。
 タイルは各産業の廃棄物を使ってきましたが、タイルの回収のシステムはありません。タイルが回収されて持ち込まれれば、これを2割から3割混ぜ、原料の一部として使用する事は可能です。しかし、建物等の解体は、短時間、低コストに主眼を置いているので、分別できていないのが現状かと思います。
 家電製品や車の部品は、リサイクルされやすいように設計されています。タイルも容易に剥がれないが、解体時には剥がし易い設計とすべきで、その場合従来もモルタルではなく、接着剤での施工(乾式工法)等、新しい施工方法の開発が必要になると思われます。
 まとめると、様々な産業の廃棄物を使ってタイルを製造していますが、タイル自体の完全なリサイクルは出来ていないというのが現状です。

「セメント産業における副産物・廃棄物使用料の上限」
 住友大阪セメント(株) 技監・環境部長 芹澤 貴清氏
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廃棄物の使用量増加
 2001年度に経済産業省から、循環型社会を構築するにあたり、「1tのセメントを作るのに対して400kgほどの廃棄物を」と要請がありました。
 セメントは石灰石、粘土、珪石、鉄原料等を粉砕し、それを焼成炉で焼き、中間物(クリンカー)を作り、それをもう一度粉砕して、そこに石膏、あるいは高炉スラグを混ぜて作ります。これまではクリンカーを作るまでの原料で、1tのセメントに対し、179kgぐらいの廃棄物を使っていました。燃料は1tのセメントを作るのに約100kgの石炭と、それ以外の廃棄物系の燃料約10kgでまかなっています。またセメントの凝結の具合を調節するために石膏を入れていますが、その石膏以外にも混合セメント(大部分は高炉スラグ)を入れます。石膏は約3%使い、混合セメントを含めて約122kgです。1tのセメントに対し、合計で平均約310kgの廃棄物の利用をしてきたわけです。
 これを、原料では240kg、燃料は130kgの約半分を代替えし、仕上げや混合材も若干増やせば、「理論的には430kgぐらいの廃棄物を使えるので400 kgを目標に」ということが経産省からの要請でした。
 セメントにはいろいろな廃棄物が使用できますが、半製品であるクリンカーの原料に使用できる物と、燃料系として焼成系統(キルン)で使う燃えて消えてしまうもの、最終製品行程の仕上げ行程で使う石膏、あるいは溶鉱炉から出る高炉水砕。大きく分けて、この3つの段階で廃棄物、あるいは副産物を利用しています。
 セメントの種類には、ポルトランドセメントと混合セメントがあり、その他に特殊なセメントがいくつかあります。廃棄物等が使用されているのは、ポルトランドセメント、混合セメントです。
 ポルトランドセメントに要求される特性としては、こわばりの特性、それから圧縮の強さ、ワーカビリティーや色、混和剤との相性といったものが問われます。たくさんの廃棄物が使える事情は、こういった特性を色々な要素で制御できることに起因します。クリンカーの鉱物組成を変える、セメントの細かさを変える、石膏の配合比を変える等、様々な物を微妙に変えることにができます。
 それから、微量成分をコントロールすることも重要です。ユーザーの要求に対して制御できる要素がいくつかあるので、それを上手く使うことによって、昔の物と比べても全く遜色のないセメントを作っていますし、強度も全く落ちていません。逆に最近はかなり良い物が出来ていると自負しています。
様々な原料の使用
 現在は原料代替で、どこまでいろいろな物が使えるかという要求があります。今一番使われているのは、やはり石炭灰、高炉の徐冷スラグです。高炉スラグを使えば、資源としては一番少なくて済みますが、経済性の面から、処理費が頂ける石炭灰の方に傾きつつあります。粘土はかつては粘土分の約60%でいわゆるバージンの粘土を使っていましたが、現在では2割程度になって、その代わりに特に石炭灰が増えてきています。燃料の半分、約60kgを代替えで使うようにといわれてますが、現在では10 kgといったレベルにしかまだ到達していません。
 可燃性の廃棄物の使用は現在、我々の大きな目標でもあります。主成分の30%まで廃棄物を使える技術は完成していますが、経産省から要求されている半分には、まだまだというのが実体です。
 最近は下水道汚泥を直接キルンに入れて始末してしまったり、ゴミの焼却灰の処理もかなり行われはじめ、広域で流通させて、ゴミの焼却灰を処理しようという動きもあります。
 クリンカー製造用の原料で使える量は、ほぼ限界に近いところまで来ていて、経産省が試算した数値とあまり変わりません。下水汚泥のようにほぼ蒸発してしまう物については、まだ今後40kg程入れられるかもしれません。65kgまでいくには、非常に大きな技術的なブレイクスルーがなければ無理なのが実態だと思います。
 また仕上げ材については、「炭酸ガスを減らすために混合セメントを多く使え」という話も出ています。そういったことも含めると、160kg程度までいくのではないかと考え、約470kgの廃棄物、副産物が使用出来るのでは、というのが私共の考えです。

「窯業系サイディングのリサイクル」
 ニチハ(株) 環境室長 米森 正夫氏
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産業廃棄物の処理
 まず、窯業系サイディングには「日本窯業系外装材協会」という協会があり、現在16社が加盟し製造販売しています。
 住宅着工数は1990年の170万戸に対し、2001年は117万戸と、非常に下がってきています。その中で外壁材の素材別シェアは、私共の窯業系サイディングが約74%を占め、現在の一戸建ての約4分の3に窯業系サイディングの商品をお使いいただいています。
 窯業系市場の変化は、新築住宅市場が1994年では82.5%、2001年は78%で少し下降ぎみです。これは、住宅着工件数等が下がっているからです。非住宅が10.5%から11%、リフォーム市場が94年の2.8%から01年は7%。昨今は各社がリフォームをPRしているので、こちらも拡大している状況です。その他、軒店や内装関係が約4%です。
 新築住宅を利用するお客さまをみると、リサイクル端材がどのようなお客さまから発生し、回収しなければならないかが解ります。新築住宅市場の内訳は、大工さん・工務店が94年は63%、01年は52%と少し下がってきています。パワービルダー、住宅FC、低層アパートが94年の14%から01年には25%と増えています。また、大手のプレハブメーカー等は23%でほぼ横這いです。
 廃棄物の処理は、廃掃法にそって行わなくてはなりません。排出事業者はその事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任において適正に処理しなければならない、とうたわれています。
 また、産業廃棄物の収集運搬や処分業は各都道府県、あるいは制令都市でかなりたくさんの許可が必要になります。一方、現在私共が使っている環境大臣が任命している広域再生利用指定制度という資格もあります。この資格は、指定運送会社と一緒に申請したメーカーが許可を取っているので、指定業社は資格無しで運送ができるというものです。窯業系サイディングの各社と共に、こちらの資格で、全国的に廃材を集めつつあるのが現状です。大手のハウスメーカーについては、ほとんど納入メーカーから引き取り、再生利用しています。ただ、地場の工務店等については、距離、費用の問題で回収地域が非常に限定されています。
広域再生利用指定制度
 ニチハは全国で5つの工場があります。これと広域再生利用の資格を上手く利用したいと考えています。現在、名古屋で中間処理業の資格を取って回収しています。いわき工場では広域再生利用の資格を取り、周辺のものを集めてリサイクルしています。ここでは土地代も合わせて、約10億円程かけてリサイクル設備を新設し、集めた物を主原料であるセメントとほぼ同じ粒形まで細かくして使用します。
 排出業社には、ハウスメーカー、ホームビルダー等があります。現在、いわき工場では、まず工場からお客さんの所に出向き、販売店、その他の現場等に製品を納め、その帰り便を利用して廃棄物を工場に持ってくるというシステムを考えています。また、一般の免許を持っている排出業者等についても、排出者から私共の工場に運んでくること自体は、なんら問題はなく排出者自らが工場に持ち込むことも可能です。
 課題は、地場の工務店の廃材回収アップです。これは、各発生量が非常に少ないので、個々に回収することは採算的にも効率的にも良くありません。リサイクル用として回収するものについては一時保管し、量を溜めてから回収できる規制緩和を希望しています。
 また、広域再生利用許可の中で、拠点を設けても良いという解釈を環境省で出してもらっています。排出者から拠点に集めてもらい、大量に集まった時に拠点から各メーカーが引き取っても良いということが出来つつあります。
 また広域再生利用指定制度で、今までは認可をもらうのに障害がありました。しかし、今国会等で廃掃法の改正があり、広域再生指定制度が若干見直しされると聞いています。これはおそらく12月1日施行だと思いますが、今後、資格が取りやすくなるはずです。
 現在は廃棄物を各社独自で集めようとしているのが現状です。しかし、新築系からリホーム系、解体系と進んでいくことで、協会というシステムづくりが今後進むはずです。また一方、リサイクル製品を使った新しい商品の開発を各社が行っている状況です。

「カーペットのリサイクル」
 住江織物(株) 奈良工場 生産技術部GL 西尾 成則氏
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3R推進アクションプラン
 廃棄物量の多い建設資材や食品などはリサイクル法が立法されていますが、それ以外については、経済産業省の一部門の産業構造審議会で自主的な規制として、それぞれの業種にリサイクルをすすめる「産構審業種別ガイドライン」が設けられています。産構審のリサイクルガイドラインは、循環型社会を作るため平成2年に設置されました。平成13年までに数回のフォローアップがされ、現在は品目別ガイドラインで35品目、業種別ガイドラインで18業種が設定されています。
 カーペットの場合は、日本カーペット工業組合が中心となって、このリサイクルガイドラインを進めてきました。しかし昨年、経済産業省の繊維製品の3R(リデュース、リユース、リサイクル)推進会議で、繊維製品の3R推進のためのアクションプランが設定され、これを受けて組合もカーペットの3R推進アクションプランを設定し、主に6項目で目標値を挙げています。これは、今後5年間のカーペットのリサイクルの方向性、行動指針を示すものです。
 内容を説明すると、まず製造行程で発生する屑類の減量化を中心としたリデュース。工場で発生する発生屑量をカーペット工業組合で、組合員の製造メーカーが監視するもので、平成18年度中に平成13年度排出量の対比で20%の減量を目指しています。
 次に洗浄技術を利用したリユースの推進。カーペットを長持ちさせるためのクリーニングに関するもので、一定量のストックを持ってそれを別の場所で洗浄して張り替え、その張り替えたものをまた別の場所で洗浄するという方法で長持ちさせます。メーカーではオフローケーションシステムと呼んでいます。
 そして易リサイクル製品の開発や、製造行程で発生する廃棄原料の再利用化の推進です。カーペットはいろいろなプラスチックが入っているので、非常に複雑で有効なリサイクル手段があまりありません。さらに使用済みカーペットのリサイクル方法の調査、研究と再資源化材料の利用促進、使用済みカーペットの回収方法に関する調査、カーペットの3Rに関する広報、PR活動等があります。
カーペットの素材構成
 「カーペット等廃棄・リサイクル研究会」が算出した日本国内のカーペット廃棄物量統計では、家庭用カーペットが一般廃棄物として11万t発生されていることがわかります。また、自動車用カーペットは産業廃棄物として8万t、業務用カーペットが14万4000t、トータル33万6000tが国内で発生するカーペットの廃棄物量と報告されています。
 カーペットの約95パーセント以上はタフテッドカーペットです。これは1st基布と呼ばれる物の上にミシンで糸を植え付け、樹脂を入れて固めたり、性能、機能を持たせ、さらに2nd基布と呼ばれる物や、寸法安定性を持たせるために中に入れるガラスクロスや、いろいろな種類の物が入っている構造になっています。
 家庭用の一般カーペットはあらゆる種類の物がありますが、繊維分と樹脂分が全体の80%を占めています。これを粉砕処理すると無機成分が減少するので、燃料としての性能を持つことは出来ます。しかし、いろいろな種類の物が入っているため、それ以外の経済性を伴った再資源化は難しいのです。
 タイルカーペットは、日本国内ではナイロンとポリプロピレンが多くなっています。ここで使われている樹脂はほとんどが塩化ビニールで、半分はDOPと呼ばれる可塑剤が入っています。つまり塩素分が入っているので、ダイオキシン発生の可能性があり、燃焼させることが困難です。ただリサイクルすることは可能です。また自動車用カーペットは無機充填剤が多いので、燃料としての熱効率が悪く、多種の繊維、樹脂が入っているので、素材としてのリサイクルが出来ません。
カーペットリサイクルの課題はケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル、サーマルリサイクルを、どのように進めるかがポイントです。
リサイクルの現状
 アメリカのDupont社は1994年にAMMONOLYSISというケミカルリサイクルシステムを出しています。またマテリアルリサイクルでは、アメリカのタイルカーペットの最大手Collins&Aikman社がER3バッキングというリサイクルシステムを使っています。これは、使用済みのタイルカーペットを粉砕して、それにポリマーを添加し、押し出し機等を使ってシートを作り、張り合わせるというものです。
 サーマルリサイクルについては、我々もメーカーとタイアップして、カーペットのリサイクルに取り組んできました。まずコークスの代わりに廃プラスチックを使って鉄の高炉の原料にするというものですが、カーペットの場合、塩ビの量が中濃度なので、経済性を伴ったリサイクルは出来ず今のところ中断しています。
 つづいて、セメントキルン、セメント材料としてのサーマルリサイクルですが、これはマテリアルのリサイクルを兼ねられるので期待しています。カーペットの30%から40%は無機充填物なので、材料として利用できるのですが、塩素を含んだプラスチックは受け入れられないので、塩素を含んでいない廃カーペットのサーマルリサイクルに取り込んでいる状況です。
 最後に、ガス化溶融炉でのガス燃料化ですが、ゴミ焼却等の中で、塩素を含んでいてもダイオキシンを発生しないシステムです。熱分解したガスをエネルギーとして使うもので、カーペットのような多岐に渡る材料を含むものは、一般廃棄物、ゴミとして焼却して、そのエネルギーを取るという形が望ましいと思われます。今後、カーペットのリサイクルとしては、このガス化溶融システムについてテストする方向で進めています。
 我々メーカーとしては、最終的には易リサイクルの商品開発をしやすい再生可能なカーペットを設計し、それをお客さまに回収してもらい、我々で再生しもう一度原料として使う事を考えねばなりません。
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