2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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建材情報交流会ニュース
  第1回「建材情報交流会」
 ”循環型社会−建材リサイクル PART-I”

*機関誌「けんざい」掲載分です。ホームページ用に再編集しておりませんのでご了承ください
  
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「循環型社会の構築にむけて─建材リサイクルの現状」
 東リ株式会社 CS環境室長 宮宇地信喜氏
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 廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられ、一般廃棄物は年間約5千万トン、産業廃棄物は約4億トンにのぼる。この産業廃棄物の中で約2割が建設業の廃棄物だ。その内、最終処分場に行くのが全体の5割ほどだったため、資源有効利用促進法(リサイクル法)の制定が必要となった。建設廃棄物を重量で見ると、アスファルトコンクリートとコンクリートという比重の重い廃棄物が約8割を占めるが、注目すべきは比重がコンクリートの約6分の1という混合廃棄物が6%を占めていること。つまり混合廃棄物はコンクリートと変わらないだけの量があるということだ。
 建設廃棄物のリサイクル比率を見ると、土木は70%ほどあるが、建設は残念ながら40%を少し超えたぐらいだ。この土木と建設の差は、土木の方でコンクリートやアスファルト塊のリサイクル率が高いことが原因だ。建設の場合は、どうしても混合廃棄物が多くリサイクル率が悪くなる。
 平成2年と平成7年を比較すると、コンクリートやアスファルトのリサイクル率は上がってきているが、逆に建設混合廃棄物や建設汚泥、建設発生木材などは平成7年の方が低くなっている。このように建設は最終処分場に送られる廃材が多い。つまり最終処分場の容量が問題で、特に首都圏はひっ迫した状況だ。現在は最終処分場の建設許可が難しく、建設廃材は非常に重要な問題だ。
 リサイクル法の基本的な考え方は、発生抑制(リデュース)、部品等の再使用(リユース)、事業者の製品回収(リサイクル)だ。2000年は循環型社会形成のための布石の年だった。1993年に環境基本法が制定され、その下に「循環型社会形成推進基本法」が制定された。この中で初めて「拡大生産者責任」が条文化され、その後、資源有効利用促進法(リサイクル法)ができる。
 この法で注目すべき点は拡大生産者責任という考え方で、従来はメーカーがものをつくる時、製造に係わる上流部分を見ていればよかったのだが、この法律では下流部分にあたる製品使用後の循環システムまで考えねばならなくなった。特に2000年10月に施行された廃棄物処理法では、悪質な廃棄物処理業者の免許取り消しやマニフェスト制度の見直しなどを盛り込んで、罰則を強化している。現在リサイクル関連の法律は、容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、建設資材再資源化法(建設リサイクル法)、食品リサイクル法の4つがあり、今後もっと多くの分野でリサイクル法が制定される見込みだ。またこれらのリサイクル法を側面からアシストするのが、グリーン購入促進法だ。
建設リサイクル法は、今年5月30日に施行された。建築物等に係る分別解体や再資源化等が義務付けられ、コンクリート、木材、アスファルトコンクリートに関しては、平成22年までにリサイクル率95%という目標値が決められている。そして今後も分別解体対象商品として、塩ビ製管・継手や石膏ボード、床材、板ガラスなどが挙げられている。これらの材料に関しては、2001年4月から実施されているが、猶予期間が2年あるので実質は2003年4月からの実施となる。今、これらの材料メーカーはそれぞれ全力で取り組んでいるのが現状だ。

「塩ビ壁紙とリサイクル」
 東リ株式会社カーテン・壁装事業部参事 金子泰士氏
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 インテリア内装材・建材の中で、一番生産量が多いのは壁紙で、1998年の生産量は全体で6億9750m2。内訳は塩ビ壁紙6億2217m2、紙壁紙1850万m2、織物壁紙553万m2、無機質壁紙3995万m2、その他1135万m2で、塩ビ壁紙の構成比は89%だが、無機質壁紙と呼ばれるものの中には表面が塩ビ製の商品があり、それらを含めると実際には95%に近い構成比となる。生産量第2位の内装材のカーテンでも1億8000万m2だから、いかに壁紙が多いかわかる。
 1990年から2000年までの壁紙の素材別出荷量推移を見ると、生産量のピークは1996年で8億m2を突破し、その後は少しずつ減少、ここ数年は7億3000万m2を上下している。生産数量を考慮した場合、壁紙の最大の欠点はリサイクルできないということ。ほとんどの壁紙が2層構造で、裏は紙で表にいろいろな素材が乗っていて、表と裏の素材が違うのでリサイクルがしにくい。
 出荷数量を重量に換算(壁紙1m2=330g)すると2000年の塩ビ壁紙は約21万トン。現在、壁紙の平均張り替え年数は約13年。そして建築現場から排出される壁紙は素材を問わず産業廃棄物として扱われていて、もしリサイクルできなければ2013年には約21万トンが差産業廃棄物となる。
 壁紙の安全性が指摘され始めて10年近くになるが、今では安全性が高いことは周知の事実。壁紙の安全基準はRAL基準・SV規格・ISM基準などがあるが、安全性だけクリアすれば良いというわけではない。環境保全面も同時にクリアしなければ真の環境対応商品とは言えない。環境保全は資源保護と廃棄物減量という2つの要素を包含している。特に資源保護は今後の必須項目となるはずだ。
 壁装業界でも壁紙のリサイクルに取り組んできたが、なかなか実現しなかった。しかし東リは、世界初のリサイクル可能壁紙「リサイブル」を開発しこれを実現した。「リサイブル」は表面の塩ビ層のみを回収できる壁紙で、塩ビ床材のバッキング層として再利用している。このシステムを拡大するため、ノウハウを共有し業界の発展に努めていきたい。

「ビニル床材のリサイクル」
 株式会社タジマ 環境・技術担当部長 市川薫氏
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 産業構造審議会のリサイクル分科会のリサイクルガイドラインでは、塩ビも対象となり、1)原材料における使用済み塩ビ製品の使用比率向上に努める 2)解体時に分離容易な簡易接着タイプ製品の普及促進を図る 3)モルタルとの分離技術の開発を中心に、床材to床材リサイクルの可能性について検証を行う4)塩ビ製である旨の材質表示の可能性について検証を行うなどの項目が挙げられている。特に 3)項は究極的な床材リサイクルの姿であるが、ここに至るまでにはまだ多くの課題がある。
 インテリアフロア工業会では、上記「床材から床材へ」のリサイクルの第一歩として、新築現場より排出されたビニル系床材・巾木の施工端材および余材を分別回収し、粉砕処理後に各社の工場にて床材にリサイクルするシステムを検討中である。
 このポイントは床材メーカーが個々に取り組むのではなく、共同してどこのメーカーの床材でも一緒に回収できること。当面はビニル床材シート、ビニル巾木やクッションフロア、ホモジニアスビニル床タイルを対象とし、コンポジションタイルは、配合組成上の理由と意匠上の理由で、当初は対象から外している。
 ビニル床材の年間出荷量は約18万トンで、その5〜7%の施工端材が約1万トン。リサイクル予定数量は初年500トン、2年目で1000トン、3年目で2000トンを目指している。回収は工業会の共通ルートのみで回収し、処理拠点は関西に一つ、2年目以降に関東にも作る予定となっている。
 ただ、この事業は環境省の広域再生利用指定が大前提で、排出業者には処理費、施工業者には分別回収の協力をしてもらわねばならない。このリサイクルの成否は分別にかかっている。前述の三種類を大別して袋に回収し、異物・異素材の分離作業と平行して分離技術の検討も行う。また、平成15年4月からリサイクル法に基づき、ビニル床材材質表示ラベルが義務化されるが、これについては業界で検討している。

「木材リサイクルネット」
 フクビ化学工業株式会社 事業環境企画室 小林利彰氏
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 建設リサイクル法で分別解体、再資源化を義務付ける特定資材として「コンクリート塊」「アスファルト・コンクリート塊」「建設発生木材」の3品目がまず指定されたが、前2者に比べ木材はリサイクル率も5割に届かず、チップ化処理施設も少ないことから、やむを得ず縮減としての焼却も可とされて来たが、これも12月に施行される「ダイオキシン類対策特別措置法」により、燃焼炉が規制されると産廃業者の焼却が難しくなる。
 建設発生木材は、解体木屑、新築木屑及び伐採材に分けられ、リサイクルの一番はチップ化して木質ボードへの再生だが、チップをそのまま使えるパーティクルボードに比べ、ファイバーボードは使用可能な原料が限定されることから、再生はなかなか進まない。さらにそのパーティクルボードでさえ、年間生産量百万トン程度であり、建設発生木材5百万トンを使用したとしても2割しか再生利用できない計算となる。
 再生木質ボードの用途拡大がまず望まれるところだが、昨年4月施行の「グリーン購入法」ではその再生木質ボードが特定調達品目として指定された。また住宅金融公庫の割増融資に「高規格住宅(環境配慮型)」があるが、ここにも再生木質ボードの使用が条件として付けられている。
 これらの流れを受けて、フクビ化学工業ではパーティクルボードを使用する乾式遮音二重床を開発し、納入した現場で発生する「廃木材」を「建設リサイクル法」により業者を斡旋して回収、チップ化して再度ボードに戻すという「グリーンネット」の構築を提案しているが、この乾式遮音二重床「フクビ・フリーフロア」は国土交通省の性能表示に充分対応する要素も備えて採用の促進が図られる。
 再生材の使用なくして「建設リサイクル法」が成り立たない状況下、今後増えると思われるバリアフリー化やリフォーム・リニューアルへの対応商品として、再生木質ボードを使用した乾式遮音二重床を提案させていただきます。  

「石膏ボードリサイクルの現状と今後の課題」
 吉野石膏株式会社 大阪支店次長 庄司正孝氏
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 現在、石膏ボード業界が取込む廃石膏ボードのリサイクルは再利用が中心ですが、廃石膏の用途開発研究にも力を入れております。
 新築系廃材では、まず廃石膏ボードを抑制する事が必要です。その上で発生したものは分別回収を徹底し、乾燥状態で保管した上で、石膏ボード工場・中間処理場等に持ち込み。再資源化を行っております。再資源化の処理費は排出者負担が原則ですが、工事請負いの専門業者が負担させられているとの声もあります。
 一方小口散材現場は保管・管理や回収についてコストアップとなる為回収・再資源化はあまり進んでいません。又新築廃材の内、石膏ボード工場・加工場・流通倉庫で発生する廃材については1990年以降資源の有効活用を目的に全量回収再利用に努めております。
 解体系現場で発生する廃材については、下地材、断熱材、金物、仕上材等が付着している場合が多く、単体として取出す事が技術的、経済的に問題が多いのが現状です。しかし今後分別解体が義務付けられる事で排出量が増加するので、一定の条件を満たしたものは受入れる方向で検討を進めております。
 石膏ボードとして再生する場合は、品質性能を担保する面から混入量は10%程度ですが今後その混入量を増やすことの調査研究は断続的に検討中です。
 尚新築系廃材については、他業界との連携を図ると同時に、廃石膏ボードの再資源化率の目標を設定し、出荷された総量の5%を限度に、各企業の責任で有償引取を実施しており、同時に全国のストックポイントを通じ回収するシステムの整備も推進しております。

「ロックウール製品のリサイクル」
 日東紡 生産・技術管理部担当課長 相馬 克広氏
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 ロックウールは、けい酸分と酸化カルシウム分を主成分とする高炉スラグや、玄武岩その他の天然鉱物等を主原料として製造され、以前は、天然鉱物から製造したものを「ロックウール」、高炉スラグから製造したものを「スラグウール」と区分していたが、近年は高炉スラグなどの鉄鉱スラグを主原料として製造するケースが主流になり、2種類を総称して「ロックウール」と呼ぶようになっている。
 ロックウールは、不燃、軽量、断熱、吸音等に優れ、しかも品質・価格共に安定しているため、年間で34万トン出荷され、吹き付け耐火被服材や住宅用断熱材、吸音天井板などとして利用されている。ただこれまでは、高い不燃性や品質の安定性で、中間処理ができない処理困難物として位置付けられ、これまでは主として埋め立て処分がされていた。しかし最近では、再生利用技術が確立され、その評価も変化してきている。
 ロックウールを再生利用する場合、大きく分けて「粉砕」と「熔融」による2種類の再生方法がある。日東紡では主に「熔融」による再生を行っていて、ロックウール廃材を再熔融して1から作り直している。このことで、廃材から新品に生まれ変わるのだ。ただ、この際には分別が不可欠で、当社では日東紡製品以外やアスベスト混入製品、また水分を多量に含有したものは除外している。この分別などが進んだおかげで、今やロックウールは資源化の優等生という評価を集めるようになっている。
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