2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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講演会の予定・講演録
  「知らないと怖い<かびの実態>」
 〜私達の周りには無数なカビ、健康を損ねたとき突然むきだし、襲ってくる〜
ケミプロ化成(株)生産技術部長 農学博士 小林智紀氏
日本は年中どこでもカビが生えるカビ大国
カビは真菌類という微生物群のなかの一種で、キノコ類(木材腐朽菌)のなかまです。カビには6万4,000もの種類がありますが家にいるのは大抵5?10種類です。アスペルギルス(コウジカビ)、ペニシリウム(アオカビ:餅やミカンに生える)、クラドポリウム(クロカワカビ:紙やクロスに生える)、フザリウム(アカカビ:パンなどに生える)、アルテルナリア(ススカビ:浴室やタイル目地などに生える)が代表的なものです。

カビは5?10種類で集団生活し、100円玉大に40〜50億はいます。胞子が発芽して菌糸を伸ばし、コロニーを形成して初めて人間の目でカビと認識できます。

カビが生育・繁殖するには温度、水分(湿度)、栄養、酸素(空気)の4条件がすべて必要です。カビに勝つには、このなかで水分をシャットアウトするしか方法がありません。カビは湿度が80%を越えると猛烈に繁殖します。日本は年中どこにでもカビが生えるカビ大国といえます。最近の住宅が気密型に変わっていることから、梅雨時季はもちろんですが、冬でも結露(特に浴室)によって旺盛に繁殖し、1年中カビにとって好環境なのです。

カビは人の健康にとって大きな脅威

あまり認識されていませんが、カビは大抵が悪玉で、真菌症、アレルギー、中毒を引き起こす恐ろしい存在です。それも抵抗力が弱い人ばかりをねらい、日和見感染をします。特に恐ろしいのは深在性真菌症で、内臓や骨にカビが増殖して病害を引き起こし、死に至ることもあります。

アレルギーは、カビやその代謝物がアレルゲンとなります。中毒は、マイコトキシンというカビの毒が体内に摂取されて健康障害をもたらす疾病です。カビ毒は熱に対して強く、通常の加熱や調理では死なずに残留します。発ガン性のある毒もあります。

カビの生えたものは絶対に食べてはいけません。ペニシリンにもなるのだから害はないと思ったら大間違いです。

カビ被害は梅雨期と結露期、つまり夏と冬に多発します。住居内でカビの発生しやすい場所は圧倒的に浴室で、シーリング材やプラスチックに生えやすいことが調査で明らかになっています。冬場の浴室は閉め切っていることが多く、結露しやすい状態です。そこに石けんカスや皮脂が加わり、これを栄養源としてカビが発生します。

家庭でできるカビ防止対策

カビ対策の手順は、?環境対策、?普段の心がけ、そして最後の手段として?薬剤処理、となります。まず水分コントロールとして結露環境を改善しましょう。夏は、雨の日に不必要に窓を開けない、寝具やカーペットを陰干しするなどを心がけます。冬は、室内、浴室をよく換気し、あまり加湿しないようにします。

家の中では、多少の空間を惜しまずに、壁と家具は離しておきます。押入の換気は必須です。

昨今の化学物質過敏症の問題を考えると、カビは環境改善で防除するのが望ましいですが、最後の手段として薬剤による防カビがあります。殺菌と防カビは全く違うものです。殺菌は菌を殺すだけ、防カビは菌の成長を抑えるだけで時間が経つにつれカビは生えてきます。漂白で汚染除去と殺菌を同時に行なうのも大切です。漂白剤にはいろいろな種類があり、安易に混ぜないようにするなど注意は必要です。

カビ対策は、大げさに考えることは何もありません。普段から換気と清掃に心がけていれば誰でも手軽に防止対策ができるものなのです。

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