2007けんざい
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  「“長生き”のリフォーム」
 〜人も住まいも共に成長する。問題点を見つければ長生きできる。その為にはリフォームを〜
アトリエ空 一級建築士事務所 澤木久美子氏
人も住まいも長生きするポイントは同じ

人が長く健康に生きるためにはさまざまなことが必要です。まず生きるための基本要素である食生活、睡眠、適度な運動、リラクゼーションなどはもちろんのこと、体重・体脂肪測定、血圧測定、健康診断など体の定期的なチェックを意識的に行なうことも大事です。

人が健康に暮らせる住まいにはまず第1に安全性の確保が必須です。子どもや高齢者に多い宅内事故の予防、化学物質・ダニ・カビの排除など。次にストレスのない音環境、光環境、視環境の確保です。

“住まい”が長生きするためのポイントも同じなのです。

定期的なチェックをしましょう。リフォームは見えないところをチェックする絶好のチャンスです。放っておくとかえって高くつきますから適時のメンテナンスをします。そして、気づかないうちに住まいの寿命を縮めることのないよう、日頃の生活習慣に気をつけます。

長生きする住まいのポイントを具体的に見ていきます。
1. 安全性の確保
耐震補強はリフォームのついでにしてしまいましょう。建物の強さはバランスが大切なので、無理な間取りの変更は避けます。また、ユニバーサルデザインに基づいた配慮をします。段差をなくし、開閉に安全な建具や転倒時のダメージを抑える仕上げ材を使ったり、基本生活空間は急激な温度変化のないようにします。
2. 耐久性の確保
屋根や外壁から水が漏れていないか、結露による傷みがないかチェックします。見えないところの傷みは気づきにくいだけに建物の寿命を縮める原因です。床下の木材の腐朽やシロアリ被害もチェックします。
3. 可変性が寿命を伸ばす
住まいは、家族構成の変化に伴って間取りを変える可能性が大きいので、その時点だけにとらわれすぎないようにします。つまり新築時の構造の選択が重要になってきます。
4. メンテナンスの容易さ
設備機器は耐用年数があり、更新しなければならないものです。その際に建物を大きく壊さずに換えられる構造のものにしておきます。仕上げ材料は、特殊なコーティングの床材、シート貼りの枠や建具は傷ついたりめくれると補修できないので、部分補修や素人補修が可能なものを選びます。
5. 健全な床下を確保する
換気は、増改築によって阻害されないようにしっかり確保します。いつでも床下をチェックできるように床下点検口をつくるのも忘れずに。シロアリは自分で見つける、くらいに思ってください。
リフォームによる結露対策は窓がポイント
住まいの寿命を縮める大きな原因のひとつが結露です。住宅の高気密化、内装材の変化などによって結露が起こりやすくなりました。結露には、窓ガラスの水滴やクロスの湿気など部屋の内装面に起こる表面結露と、天井裏や床下など室内から見えない部分で起こる内部結露があります。

日常でできる結露対策はごく簡単なものです。換気をし、家具や荷物は壁に密着させないようにして風通し良くすることを心がけます。適度な湿度を保つことが大事ですから、湿度計で室内の湿度をチェックします。そして部屋間温度差をできるだけなくします。

リフォームでできる結露対策は、窓の断熱性能を上げる、壁・床・天井(屋根)の断熱材を見直す、床下や天井裏の換気システムを導入する、外壁、特に北側に面した収納をなくす、といったことがポイントです。同じお金をかけるならば、窓にかけるのが賢いといえます。たくさんの荷物を詰め込もうとして風通しの悪い環境になってしまいがちですが、住まいは荷物のためではなく家族のためにあります。人が長生きできる住まい、そのために住まいを長生きさせましょう。

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