2007けんざい
社団法人日本建築材料協会
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講演会の予定・講演録
  「照明を工夫して、安全・健康・便利な住まいを」
 〜40代後半から視覚は高齢者 目と体に明かりを考えてみましょう〜
くらし明かり研究所「彩」代表 横田健治氏
「見る」「視る」「観る」の3つの役割
照明の役割は3つの“みる”です。「見る」は安全性。神戸の震災で人は光がないと無力だということを思い知らされました。

「視る」は明視性、つまり細かなものもよく見えるように必要なところに十分な明るさを確保するという考え方です。といっても、家中をこうこうと照らすのは今の省エネ時代に逆行しますから、局部照明や補助照明をうまく利用します。

「観る」は演出性、つまり生理的、心理的な快適を演出するという考え方。一言で照明といっても、住まいとオフィスの照明は全く違います。光色、陰影、コントラストなどを工夫して美しい癒しの空間をつくります。

照明は多種多様で、それぞれに機能を持っています。明るいことだけが良いのではありません。ブラケットのほんのりとした明かりが空間をいきいきさせます。ウォールウォッシャー、ダウンライトは壁を照らして部屋の明るさ感を強め、壁の装飾物を強調します。また、テーブルの上につるすテーブルペンダント、フロアスタンド、あんどん風スタンドなどもあり、どんな年齢の人がどんな目的で部屋を利用するのかによって照明器具の選び方も変わります。

補助照明で空間がいきいき
主照明と補助照明を使い分けることは重要です。ただ明るければいいと、主照明をひとつだけしかつけないと平板で単調な空間になります。ここに補助照明をプラスすると華やかになります。これは心理実験でも証明されており、明かりの数が増えると空間がいきいきと感じられるのです。一方補助照明だけを灯すと、人はリラックスして早く眠りに入れます。

照明のランプ(光源)には、大きく分けて蛍光灯と白熱灯があります。蛍光灯は明るくて経済性が高く、同じ明るさの白熱灯に比べると約4分の1の電気代ですみます。明かりは、波長が短いほど青っぽく、長いほど赤っぽく光ります。白熱灯のような電球色は赤みの成分が多く、赤みは人の目を通りやすいという特徴があります。一般に蛍光灯の明かりは空間全体を平均的に明るくし、白熱灯は物の陰影、立体感、艶が強調され、空間に明暗のメリハリを与えます。

視力は10代を越えると低下の一途
目は40代から高齢化し始めます。住まいをリフォーム、リニューアルするときはそのことを考慮にいれて照明の計画を立てなくてはなりません。明かりをちょっと変えることで、驚くほど暮らしは変わります。

人の視力は10代がピークで、以後は低下を続けます。加齢とともに目のレンズの役割を果たしている水晶体がにごってくるとものがかすんで見えるようになります。これがひどくなると白内障になります。白内障になると、眩しくなる、暗くなると見えなくなる、物が二重、三重に見えるといった症状があらわれます。

高齢化した目に眩しさはよくありません。水晶体がにごると外から入ってきた光が散乱し、散乱光が網膜に刺激を与えてしまいます。高齢者に配慮した照明とは、十分な明るさと、夜に眩しくないほどよい暗さがポイントです。

本日は高齢者の目と明かりという切り口でお話ししましたが、照明はユニバーサルライティングで計画するものです。高齢者にやさしいものは当然若い人にもやさしい。家族みんなに心地よい照明環境づくりに、この話をぜひ役立ててください。

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